成年年齢引下げ
親権について
2023年3月、高校3年生(18歳)のAさんは大学に合格して一人暮らしのための部屋を探すことになりました。
Aさんの親はAさんに代わってアパートを借りる契約をすることができますか。
Aさんは18歳で既に成年となっているため、親の親権は消滅しています。よって、Aさんの親はAさんに代わって契約をする代理権がありません。
親権とは?
親権とは、未成年の子の監護養育を中心的な目的として父母が有する権利と義務のことを指します。「監護」とは子を監督し保護することであり、「養育」には、保護・教育が含まれます。
18歳のAさんが自分一人で家賃15万円の高級マンションの賃貸借契約をしてきた場合、Aさんの親はこの契約を取り消すことができますか。
未成年者が、法定代理人(親権者・未成年後見人)の同意を得ることなく、単独で行った契約は取り消すことができます。しかし、Aさんは既に成年となっているため、親には同意権がなく、Aさんが単独で行った契約を取り消すことができません。Aさんが一人暮らしを始めてから、クレジットカードを作成したり、消費者金融からお金を借りていても、Aさんの親はこれを取り消すことはできません。
若年者をめぐる賃貸借トラブル
消費者庁のデータでも、若年者の「賃貸アパート」をめぐるトラブルが上位に挙がっています(平成29年版消費者白書図表I-3-2-4)。
Aさんはアルバイト先の会社から解雇されてしまい、借りていたマンションの賃料を6ヵ月滞納していたところ、この支払いを求める訴状が裁判所から届きました。どうして良いのか全くわかりませんが、放っておくとどうなりますか。
Aさんは、既に未成年でないため、自ら訴訟行為を行う必要があります。
訴訟能力とは?
裁判の当事者が、自ら単独で有効に訴訟行為を行うために必要な能力です。未成年者は、単独で訴訟行為を行うことができず、法定代理人によってのみ訴訟行為をすることができます。
答弁書を提出しないまま口頭弁論の期日に欠席すると、相手方の主張を認めたという効果(擬制自白)が生じてしまうこともあります(民事訴訟法159条3項)
答弁書とは?
原告(訴えを提起した当事者)が提出した訴状に対して、被告(訴えを提起された相手方)が原告の請求を認めるか否か、個々の主張に対する認否、反論等を記載して最初に提出するものです。
口頭弁論期日とは?
当事者が互いの主張を行うために裁判所で法廷が開かれる日を口頭弁論期日といいます。
擬制自白とは?
口頭弁論期日に欠席すると、相手方が主張している事実を自分が認めたものと扱われ、裁判で不利に扱われる可能性があります。
訴訟のより詳しい説明は
https://www.shiho-shoshi.or.jp/consulting/judgement/case_judgement02/
- 日本司法書士会連合会の取り組み