司法書士の業務
1 不動産登記の代理人
不動産登記とは、土地や建物に関する情報(所有者、面積、担保の有無など)を、法務局が管理する「登記記録」に記載し、これを広く社会に公開することによって、不動産取引の安全を図るための日本の制度です。
司法書士は、不動産の売買、贈与、相続などによる名義変更や、抵当権、借地権に関する登記など、不動産の権利に関する登記についての手続きを代理して行います。
日本における不動産登記申請業務は司法書士が担っており、不動産に関する様々な権利関係について、人・物・意思などの確認を行いながら、市民権利の保全に寄与しています。
2 商業登記の代理人
日本では、会社などの法人は、会社法などの法律に定められた事項を、法務局が管理する「登記記録」に記載しなければなりません。
役員変更、商号や目的を変更する場合だけでなく、増資、合併、会社分割などの組織編成をするといった、会社を大きく発展させるような場合にも、会社の登記は重要な役目を果たします。
司法書士は、法人の登記申請の代理人となり、商業登記の専門家として取引の安全に寄与しています。
3 成年後見人業務
認知症や知的障がいなどにより判断能力が十分でなく、自分で自分の財産を管理することが困難な方々のため、日本には、家庭裁判所が「成年後見人」などを選任してその財産などを守る「成年後見制度」があります。
司法書士は、この「成年後見制度」を支えるため、1999年12月に社団法人成年後見センター・リーガルサポート(現在は公益社団法人)をいち早く設立しました。現在、30%を超える※司法書士が所属し、成年後見業務に精力的に取り組んでおります。
本人の親族でない第三者が後見人として選ばれる場合は、司法書士がもっとも多く後見人として家庭裁判所から選任されています。(※2014年6月現在)
4 裁判所での訴訟業務等
日本には「簡易裁判所」と呼ばれる裁判所が全国各地に存在し、主に身近なトラブルを取り扱っています。
法務大臣の認定を受けた司法書士(認定司法書士)もまた全国各地に存在し、簡易裁判所での140万円以内の民事訴訟や調停等の代理人として活躍しています。
また司法書士は簡易裁判所の代理人になるだけでなく、広く裁判業務を行うことができます。
地方裁判所や上級裁判所に提出する訴状や答弁書などの作成等を通じて「二人三脚」で本人訴訟の支援を行っています。
5 帰化申請業務
日本で生まれ育った外国人の方や日本での永住を希望する方が日本国籍を取得するためには、法務大臣の許可が必要となります。日本国籍を取得する要件は厳しく、提出しなければならない書類も複雑です。
司法書士は、この帰化手続のアドバイス、提出書類の作成、必要書類の収集などを通じて外国籍の方の日本国籍取得をお手伝いします。
6 その他の業務
日本には、「供託制度」があります。供託とは、金銭などを法務局に提出し、最終的にはその金銭等を特定の人に受け取らせることによって、一定の目的を達成させる制度のことです。例えば、アパートの賃貸料を供託したり、不動産売買を仲介する業者など法律で定められた営業をするときの保証金を預けるときに利用します。司法書士は、この手続きの代理業務を行います。
また、国土の狭い日本では、隣地との筆界を明らかにすることは重要なことですが、日本人はあまり争いを好まないので、裁判によらずに正しい筆界を法務局が特定する制度があります。司法書士は、「筆界特定手続」の代理業務を行います。