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月報司法書士

  • 掲載原稿の一部をホームページ上で公開しております。

フォトエッセー 日本近代法の父 ボアソナード

特集 リーガル・カウンセリング 2

リーガル・カウンセリングの倫理問題/名古屋大学大学院教授 森際 康友

REPORT

講座

実践的要件事実論の基礎 第6回「少額訴訟の相談案件への対応」 /司法研修所教官 加藤 新太郎

憲法再入門―「現場」からの視点 第6回/早稲田大学教授 水島 朝穂

連載

essay

大出良知の深謀無遠慮・Ⅱ 第10回/九州大学大学院教授 大出 良知

information

リーガルサポートニュース

司法書士会・ブロック会が主催する研修会情報(略)

司法書士名簿登録等の公告

読者アンケート

フォトエッセー 第30回 日本近代法の父 ボアソナード

初期の明治政府にとって最大の懸案は不平等条約の撤廃であり、そのためには早急な法整備が必要であった。民法という市民の生活のインフラ整備もこのような要請から始まったため、当時、列強諸国で唯一成文法の民法を持っていたフランスに倣うのが最も効果的であると考えた政府は、パリ大学からボアソナードを招聘した。明治6年の来日後、刑法、治罪法(刑事訴訟法)の起草を経て、民法の起草に取り掛かり、明治23年わが国最初の民法が公布された。しかし、保守層から内容が進歩的で道徳性を破壊するとの批判が強まりこれが世論の支持を得る。いわゆる「法典論争」である。結局、施行を延期したまま、政府が新たに設置した「法典調査会」により、ドイツ法の影響を受けた民法が起草され、ボアソナード起草による民法の改正法として明治31年に施行された。「お雇い外国人」として「如何ナル事アルトモ日本ノ宗門及其政事ニ加ルベ可ラザル事」(御雇契約書第8条)という制約がありながら、法典の起草だけでなく拷問禁止の建白や「征台の役」後の清国との交渉、法学教育を通して明治前半の日本に近代法の考え方を伝えた。民法施行から100年余が経過した現在、そのルーツを繙く上で、改めて「ボアソナード民法」の研究がなされている。

(伊見真希)