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総会決議集

2007年(平成19年)06月22日

高齢者、障がい者、ホームレスを対象とした法律援助事業の実施を求める決議

日本司法書士会連合会

第69回定時総会

【決議の趣旨】

民事法律扶助の本来事業の対象とならない高齢者、障がい者、ホームレスを対象とした出張法律相談、生活保護受給などの行政処分の申立についての援助を目的とする法律援助事業の実施を求める。

 

なお、本法律援助事業の実施に関しては、日司連が法テラスに一括委託することを前提とする。また、本事業の予算に関しては、テスト事業費より金500万円を支出することとする。

 

以上のとおり決議する。

【提案理由】

民事法律扶助には、本来事業の対象とならない自主事業と呼ばれるものがある。出張法律相談、刑事被疑者弁護援助、少年保護事件付添扶助、難民法律援助、民事介入暴力、精神障害者の退院・処遇改善請求、ホームレス生活者への生活保護申請援助などである。これらは、これまで、扶助協会の支部単位で、弁護士会などからの寄付で運営され、これまでは、各弁護士会が扶助協会支部に委託し、実施されてきた。

 

日本司法支援センター(法テラス)に移行することにより、日弁連は法テラスに、これらの自主事業を一括して委託する予定であり、そのための協議を法テラスとすすめているとのことである。

 

これまでに、司法書士が関与してきた自主事業は、ホームレス生活者に対する路上での出張法律相談、生活保護受給などの行政処分の申立についての援助であり、東京・札幌などにおいては、一昨年より順次、運用規定を設け、実施してきている。

 

法テラスに移行することに伴い、各地で行われている自主事業は、一旦廃止され、これまでと同様に、司法書士が自主事業に関与するためには、日司連が、出張法律相談、生活保護受給などの行政処分の申立についての援助を目的とする法律援助事業を立ち上げ、日弁連と同様に法テラスに委託する必要があると考えられる。

 

これまで、ホームレスへの出張法律相談や生活保護申請援助に関しては、民事法律扶助は受けられないものの、当事者の現状(最低限の生活すら確保できていない、最低限度の生活を保障する生活保護が機能していない)を見かねた司法書士・弁護士が、手弁当で路上法律相談をするなどして、当事者の権利擁護を果たしてきている。そこで、各地の法律扶助協会が自主財源に基づいてこれらの事件の司法書士費用・弁護士費用を援助するようになったのが、自主事業の成り立ちである。

 

今回の法律扶助協会の法テラスの移行により、司法書士が関与できる自主事業が消滅してしまうことに、深い危惧をおぼえる。住居もなく食料もない状態で何とか生きつないでいる方々への自立のための支援をする司法書士への活動を衰退させないためにも、また、高齢者・障がい者の方が生活する施設内での出張法律相談の実施をするためにも、日司連において高齢者、障がい者、ホームレスを対象とする法律援助事業の実施を求め、本議案を上程する。