会長声明集
2025年(令和7年)04月25日
債務整理事件の処理に関する指針の制定について(会長談話)
日本司法書士会連合会
会長 小澤 吉徳
昨今、債務整理事件の処理に関して、司法書士による不適切な事件誘致や事件処理、不当に高額な報酬請求が社会問題となっており、法律専門職としての司法書士の倫理に関する問題が指摘されています。債務整理事件の処理を通じて依頼者の生活再建を支援すべき法律専門職による消費者被害は看過することができない問題です。
当連合会では、この問題に対応するため、これまでの「債務整理事件の処理に関する指針」及び「債務整理事件における報酬に関する指針」を一本化し、①直接面談の原則、②不適切な事件処理の禁止、③報酬の上限規制、④広告の規制を柱とする、新たな「債務整理事件の処理に関する指針」を制定しました。
また、この指針の運用をより実効性のあるものにするため、同時に「債務整理事件の処理に関する規則基準」を制定し、全国の司法書士会において、この規則基準の理念に沿った規則等の制定を進めているところです。
なお、直接面談の原則については、司法書士による不適切な事件処理を防止することを目的として規定しており、司法書士の都合によるウェブ面談は原則認められず、例外的に依頼者に直接面談ができない合理的な理由があり、かつ、依頼者が希望する場合に認められるのであって、例えば広告の表示や司法書士の誘導により、依頼者が直接面談を希望しているにも関わらずウェブ面談がなされることは認められません。
当連合会は、全国の司法書士会や関係機関、関連団体等と緊密に連携しながら、国民の権利擁護と自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする司法書士の団体として、多重債務問題の解決と依頼者の生活再建に資する活動に全力で取り組んでまいります。