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会長声明集

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2014年(平成26年)05月23日

貸金業者に対する規制緩和策について

日本司法書士会連合会

会長 齋木 賢二

 報道によれば、政府与党関係部会において、貸金業法における金利・総量規制の緩和策が検討されているようである。その詳細な内容は明らかではないが、報道を見る限りにおいても大きな懸念を持たざるを得ない。


 2006年の貸金業法改正は、官民を挙げた「多重債務問題改善プログラム」の取り組みもあって、いわゆる多重債務者が激減し、自己破産申立件数の減少及び自殺者の減少など着実にその成果を上げており、今後もその進展が期待されるところである。


 上限金利の引き上げや総量規制の緩和は、再び多重債務者を増加させ、貸金業法改正前に見られた過剰な債務負担による自殺、家庭崩壊及び凶悪犯罪などの悲惨な社会状況を再来させる可能性が極めて高いものといわざるを得ない。また、悪質貸金業者を排除するために一定の施策を用意しているとのことであるが、これまでの貸金業者の動向を見れば、法が定める要件を遵守しなかったり、脱法的活動を行う不正業者が再び氾濫する危険性は大きい。


 融資を受けることが困難な事業者や個人への資金供給を充たすためには、安易に高利の貸金業者を利用する施策を行うのではなく、中小企業や個人の生活及び事業を破綻させないためのセーフティネット貸し付け等の充実・拡大に取り組み、高利金融に頼らない健全な社会を構築することこそ重要であると考える。