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総会決議集
非司法書士の取締りを強化するため司法書士法の改正を求める決議
【議案の内容】
平成18年度日司連事業計画では、平成18年度事業計画(案)・「第6 一般事業について」「1.総務部門関係」〔一般事業〕(第68回定時総会資料154ページ)において「司法書士を取り巻く情勢が多様化、複雑化した環境の中で、事務執行体制のなおいっそうの充実を図り、迅速・適正な指導・連絡を司法書士会の協力のもとに当たっていくこととし、司法書士会会員の品位を保持するための諸施策を講じる。」と抽象的に計画されているため、その具体的な施策として次のとおり提案する。
「日本司法書士会連合会は、法務省に対し、司法書士法第73条第1項を下記(1)(2)の趣旨のとおり改正を実現するよう活動すること」を強く求める。
記
(1)現行の司法書士法第73条第1項に、「報酬を得る目的で、司法書士会に入会している司法書士又は
司法書士法人でない者は、第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務をあっせんをすることを
禁止する。」趣旨の規定を現行規定に追加すること。(2)司法書士法第3条第6号から第8号の業務(簡裁訴訟代理等関係業務)を認定司法書士でない者が
行うことの禁止、及び報酬を得る目的であっせんすることの禁止は、司法書士法に罰則規定がなく
弁護士法第72条で規制しているのが現状であるため、弁護士法第72条と同趣旨の規定を司法書士法に
新たに設けること。以上のとおり決議する。
2006年(平成18年)06月23日
日本司法書士会連合会 第68回定時総会【提案の理由】
司法書士が、国民の権利を保全するため、一世紀以上にわたり登記実務の専門家としてその役割を忠実に果たし、先の不動産登記法の全部改正において司法書士が作成する本人確認情報に一定の公証機能まで付与されるに至ったことは周知のとおりである。
ここ最近、綱紀事案が増加の一途を辿っている。その中でも、特に登記事件や債務整理等のクレサラ事件の受託に際し、バックマージンを紹介者等に支払い嘱託を誘致する司法書士はもとより、相手方(仲介業者等)からバックマージンを要求され継続的に支払う司法書士の横行、無資格者と手を組んで司法書士事務所を開設しその者に雇用されていた司法書士の存在等が明らかとなっている。
このような執務姿勢では、今後、本人確認の場面や司法書士としての種々の業務判断の場面において、適正な判断を行いその職責を果たすことができるのであろうか。
司法書士会は、司法書士倫理の重要性を周知・実践するため会員に対し研修の実施や会員指導を行っている。しかし、それには限界がある。
第一に、会員各自の倫理観に対する自覚である。
第二に、「報酬を得る目的であっせんする者」を廃除しなければならない。司法書士会は、会員の綱紀事案について、会員に対し指導を行い法務局に報告しその処分を求めることができるが、登記事件や裁判事件をあっせん・紹介するからと言ってバックマージンを会員に要求する者についてはこれを処罰する規定が司法書士法に存在しない。
これらの者を処罰しようとするならば、登記事務は法律事務の一分野であるとして弁護士法第72条を適用する以外、座視せざるを得ないのが現状である。
提案者は、我々の職能法においてこの点を明らかにし、国民の権利保護に寄与するため司法書士倫理をなおいっそう確立していく必要があるのではないかと考える。
また、簡裁訴訟代理等関係業務についても、現在、弁護士法第72条で「報酬を得る目的であっせんすることの禁止」が規定されているところであるが、司法書士法においても同趣旨の規定が制定されるべきであると考える。
よって、「日本司法書士会連合会は、司法書士法第73条第1項を上記趣旨のとおり改正するよう法務省及び関係機関に要請・協議し、その実現に努めること。」を求める。
なお、日司連第65回定時総会において同趣旨の決議がなされているところであるが、この決議は簡裁訴訟代理関係業務に関する決議であること、さらに同決議の時から2年も経過しているにもかかわらず、日司連の対応が不明確であるため、本議案を提出するものである。
また、過日開催された近畿司法書士会連合会定時総会及び大阪司法書士会定時総会において、全会一致をもって、頭書記載の決議が採択されていることも付言させていただく。
《参考》
司法書士法第73条第1項(非司法書士等の取締り)
司法書士会に入会している司法書士又は司法書士法人でない者(協会を除く)は、第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行ってはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合は、この限りではない。弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。