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総会決議集
日米地位協定の改定を求める宣言
「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(以下「日米地位協定」という)は、1960年(昭和35年)の効力発生以来、改定されることなく43年余経過している。
米軍及び米軍基地に起因する事件・事故、環境破壊等が頻発し、国民、殊に基地周辺住民は、深刻な被害を被っているが、この被害を償うには、現行の日米地位協定では、極めて不十分である。
日米地位協定に基づき提供されている米軍基地に由来するこれらの問題は、決して見過ごすことの出来ないものであり、国民の基本的人権の擁護及び環境保全の観点から、現行の日米地位協定を改定すべきである。
ここに司法書士及び日本司法書士会連合会は、日米地位協定の改定を求めることを宣言する。
2004年(平成16年)06月25日
日本司法書士会連合会 第65回定時総会【提案理由】
駐留米軍への提供施設、米国軍人、軍属及びその家族らの権利義務などを定めた日米地位協定は、その協定が発効した1960年(昭和35年)当時と現在では、社会情勢、国民の意識、法意識が大きく変わってきているにもかかわらず、一度も改定がなされないまま43年余経過している。
基地の所在する周辺地域では、米国軍隊、軍人、軍属及びその家族が関わる事件、事故が続発し、また、基地に起因する騒音被害や有害物質等による環境破壊が問題化しているが、これらを解決するには以下の日米地位協定の規定等が障害となっている。
- 米軍の絶対的基地管理権による司法、警察、地方公共団体等の基地内への立入及び調査が阻まれていること(第3条)。
- 米軍には環境汚染に対する原状回復義務、損害賠償義務が免除されていること(第4条)。
- 米軍には日本法令の遵守義務がないこと(第16条)。
- 刑事事件における米軍人は、公訴提起までの身柄引き渡しが拒否できること(第17条)。
このような基本的人権の保障、環境保全に不十分な日米地位協定に対し、衆議院外務委員会、全国知事会、全国都道府県議会議長会、沖縄県ほか27都道府県議会、日本弁護士連合会、日本青年会議所等諸団体の日米地位協定の抜本的改定に対する宣言、決議が相次ぐ等、改定を求める動きが全国に広がり、その機運が高まっている。
我々司法書士は、平成14年の司法書士法改正により、より積極的に国民の権利の保護に寄与する法律家であるとされ、これまで以上に国民は期待を寄せている。この期待に応えるべく日本司法書士会連合会は平成15年に第64回定時総会において「基本的人権の擁護に関する宣言」を採択した。
よって、この宣言の趣旨に沿うべく「日米地位協定の改定を求める宣言」の採択を求め提案する。