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意見書等
2004年(平成16年)10月15日
法務省民事局参事官室 商事課 御中
「電子公告制度の導入に伴う『電子公告に関する規則』の制定及び『商法施行規則』の改正」に対する意見書
日本司法書士会連合会
会社法制検討委員会
1. 電子公告に関する規則案について
意見のある条文についてのみ、取り上げることとする。第3条関係(電子公告調査を求める方法)
【意見】登記アドレスから公告アドレスまでのリンクの経緯がわかるような事項も電子公告調査を求めようとする会社から、調査機関に提出させるべきである。第3条第1項に次の項目を追加すべきである。
「公告アドレスと登記アドレスが相違する場合は、登記アドレスから公告アドレスまでのすべてのリンクに関するアドレス」【理由】登記アドレスと公告アドレスの関係は、登記アドレスにアクセスしなければ判明しない。またリンクがとぎれていないかどうかの判断も調査機関に課せられた義務(第5条第1項第4号)であることから、必要な事項として追加を求める。
第7条関係(調査結果通知の方法)
【意 見】調査結果通知を電磁的方法で提供する場合は、調査機関が法人である場合は、電子署名を行い、電子認証登記所の電子証明書を添付しなければならないもの とすべきである。調査機関が個人である場合は、電子署名を行い、法務省が指定する電子証明書(商業登記オンライン申請の添付書面情報で規定されているも の)をも添付しなければならないとすべきである。
【理由】電磁的方法による調査結果通知が改ざんされないような規定が必要である。調査機 関が、調査委託者より求められた場合は、商業登記申請に利用できる調査結果情報を提供しなければならないこととなっている(第7条第3項)。この場合に は、所定の電子署名及び電子証明書が必要となるが、委託者より求められなくても、電磁的方法で調査結果情報を提供する場合は、当初から電子署名及び電子証 明書を必須のものとすれば問題がない。
ただし商業登記法第19条の2に規定する電磁的記録に要求される電子証明書の範囲が、商業登記オンライン 申請の添付書面情報で規定されている電子証明書の範囲より限定されているため、商業登記法第19条の2に規定する電磁的記録の交付請求があった場合は、そ の規定に沿った電子証明書を添付すべきであり、第7条第3項の規定は必要と考える。
よって第7条第1項に電磁的記録に署名に代わる措置(電子署名)の規定を挿入すべきである。その他
登記アドレスと公告アドレスの関係
登記アドレスと公告アドレスとの間には、容易に登記アドレスから公告アドレスに到達できる程度のリンク数でなければならないのは当然であるが、故意にリンク数を増やし、公告アドレスに容易にアクセスすることが困難な状況を防ぐため、リンク数の制限が必要と考える。
また、同一ドメイン内でのリンクに限定することも必要と考える。2. 商法施行規則改正案について
ア 電子公告法関係の改正
(ア) 電子公告の内容である情報の提供を受けるために必要な事項(第8、第8条の2、第198条)
【意 見】改正案に賛成する。ただし、第8条の2第2項については、端的に「商法第188条第3項前段の規定により同項前段に規定する法務省令で定める事項を登 記する場合には、当該事項であって同法第283条第4項又は商法特例法第16条第2項の規定による公告の内容である情報の提供を受けるためのものを別に登 記することができる。」とすべきである。【理由】従前の規定と整合的である。第8条の2第2項については、株式会社についての規定である から、意見記載の振り合いで足りるものと考える。全般的に条文の準用が多く、分かりにくく、これらの条文は一部の専門家しか理解できないものと思われる。 これは、現在検討されている「会社法制の現代化」の基本方針にも反するところである。公告規則案と同様に「サーバ」、「登記アドレス」等や「URL」など の一般的に理解しやすい用語への定義づけを検討し、条文の明瞭、簡素化を図る必要がある。
(イ) 電子公告を行うための電磁的方法(第10条)
【意見】改正案に賛成する。【理由】従前の規定と整合的である。
(ウ) 貸借対照表等の記載事項等(第34条)
【意見】改正案に賛成する。【理由】従前の規定と整合的である。
イ 電子公告法関係以外の改正
(ア)営業報告書の記載事項(第103条)
【意見】改正案に賛成する。ただし、「上位7名以上の大株主及びその持株数の数並びに・・・」は、端的に「上位7名以上の大株主及びその持株数並びに・・・」との文言でよい。【理由】実務の実情を考慮した措置として賛同する。
(イ)中間配当限度額の算定における加算額(第125条)
【意見】改正案に賛成する。【理由】法改正に伴う処理であり、妥当である。
(ウ)会計監査人の監査報告書の署名者(第131条)
【意見】改正案に賛成する。【理由】法改正に伴う処理であり、妥当である。