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意見書等
2007年(平成19年)09月06日
金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室 御中
「利息制限法施行令(案)」及び「出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律施行令(案)」に対する意見
日本司法書士会連合会
会長 佐 藤 純 通日本司法書士会連合会は,「利息制限法施行令(案)」及び「出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律施行令(案)」に対して,次のとおり意見を述べる。
記
第1.利息制限法施行令案についての意見
本利息制限法施行令案は,貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成18年法律第115号。以下「改正法」という。」)の施行に伴い,債権者の受ける金銭のうち利息とみなされない費用,保証の業務に関して行政機関の監督を受ける者等を定めるものであり,その具体的内容は,いずれも妥当と考えられ総論的に賛成するものであるが,具体的内容についての意見は次のとおりである。「具体的内容についての意見」
(1)第1条関係
利息制限法第6条第1項の委任に基づき,金銭消費貸借に関し債権者の受ける元本以外の金銭(みなし利息)のうち利息とみなされない費用を, (1)ローンカードの再発行の手数料, (2)貸金業法の規定に基づき債務者に交付された書面の再発行等の手数料, (3)債務者が弁済期に弁済できなかった場合に行う再度の口座振替手続の費用と定めているが,公平の観念からしていずれも債務者の責任において負担すべきものであるため,反対するものではないが,いずれも低廉な上限額を定めておくべきである。そうでなければ,上限金利の引下げを行った意味がなくなる恐れがあるからである。(2)第2条関係
利息制限法第6条第2項第3号の委任に基づき,契約締結又は債務弁済におけるATMの利用料のうち利息とみなされない額の範囲を, (1)入出金額3万円未満の場合には420円以下, (2)入出金額3万円以上の場合には630円以下と定めている。
しかしながら,貸金業者が自ら設置したATMの利用料についても420円から630円もかかるということであれば,債務者の負担は極めて大きいと言わざるをえない。現状では貸金業者が自ら設置したATMの利用料については無償であることを鑑みれば,この場合の利用料は無償とすべきであり,少なくとも上限は100円程度とすべきである。そうでなければ,上限金利の引下げを行った意味がなくなる恐れがあるからである。(3)第3条関係
利息制限法第8条第4項の委任に基づき,主たる債務者が個人である場合において同項が適用される保証人となることができる「保証の業務に関して行政機関の監督を受ける者」として,各種金融機関・組合等を定めている。
これにより,債務者が個人で保証人が政令で定める者ではない場合には,元本極度額に対する保証料取得が制限されることとなるが,保証人となることができる範囲としては適当であり賛成である。(4)第4条関係
利息制限法第8条第7項第1号ハの委任に基づき,保証料支払におけるATMの利用料のうち保証料とみなされない額の範囲を, (1)入金額3万円未満の場合には420円以下, (2)入金額3万円以上の場合には630円以下と定めている。
しかしながら,保証会社が自ら設置したATMの利用料についても420円から630円もかかるということであれば,債務者の負担は極めて大きいと言わざるをえない。現状では貸金業者が自ら設置したATMの利用料については無償であることを鑑みれば,この場合の利用料は無償とすべきであり,少なくとも上限は100円程度とすべきである。そうでなければ,上限金利の引下げを行った意味がなくなる恐れがあるからである。(5)第5条関係
利息制限法第8条第7項第2号の委任に基づき,保証に関し保証人の受ける金銭(みなし保証料)のうち保証料とみなされない費用を, (1)保証料支払用カードの再発行の手数料, (2)主たる債務者が弁済期に弁済できなかった場合に行う再度の口座振替手続の費用と定めている。
これについても,公平の観念からしていずれも債務者の責任において負担すべきものであるため,反対するものではないが,いずれも低廉な上限額を定めておくべきである。そうでなければ,上限金利の引下げを行った意味がなくなる恐れがあるからである。第2.出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律施行令案についての意見
本出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律施行令案は,貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成18年法律第115号)の成立により,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和29年法律第195号。以下「法」という。)が改正されたことに伴い,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律施行令案(以下「本政令案」という。)を定めるものである。
その概要は,いずれも妥当と考えられ総論的に賛成するものであるが,概要についての意見は次のとおりである。「概要についての意見」
(1)高保証料規制に関し根保証に係る特則が適用される保証人の範囲に関する規定
(本政令案第1条)法第5条の2第3項の委任に基づき,「保証の業務に関して行政機関の監督を受ける者」の内容を具体的に定めている。
これにより,債務者が個人で保証人が政令で定める者ではない場合には,元本極度額に対する保証料取得が制限されることとなるが,これについても,保証人となることができる範囲としては適当であり賛成である。(2)高金利規制の対象から除外される費用の範囲に関する規定
ア 現金自動支払機その他の機械の利用料(本政令案第2条)
法第5条の4第4項第1号ハの委任に基づき,いわゆるみなし利息から除外される貸付けに係る金銭の受領又は弁済のために利用する現金自動支払機その他の機械の利用料の上限について,機械を利用して受け取り又は支払う額の区分に応じ,3万円未満は420円,3万円以上は630円と定めている。
しかしながら,貸金業者が自ら設置したATMの利用料についても420円から630円もかかるということであれば,債務者の負担は極めて大きいと言わざるをえない。現状では貸金業者が自ら設置したATMの利用料については無償であることを鑑みれば,この場合の利用料は無償とすべきであり,少なくとも上限は100円程度とすべきである。
イ 貸付けの相手方の要請により貸付けを行う者が行う事務の費用(本政令案第3条)
法第5条の4第4項第2号の委任に基づき,いわゆるみなし利息から除外される事務の費用を金銭の貸付け及び弁済に用いるために交付されたカードの再発行に係る手数料等と定めているが,これについても,公平の観念からしていずれも債務者の責任において負担すべきものであるため,反対するものではないが,いずれも低廉な上限額を定めておくべきである。そうでなければ,上限金利の引下げを行った意味がなくなる恐れがあるからである。