仲裁について
仲裁とは?
仲裁は、紛争解決のひとつで、解決の基準となる考え方は法律の他、「衡平と善」(仲裁法第36条)であることが特徴です。裁判よりも柔軟な解決が可能ですが、調停や和解よりも法律を基準とした解決がはかれます。
仲裁事件の多くは、国際商事仲裁などであり、国内の民事事件の解決にはあまり利用されていません。しかし、事件の内容によっては、仲裁による解決が適当なものもありますので、仲裁の利用を推進しているところです。
仲裁の特徴
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仲裁判断は、裁判所の確定判決と同一の効力を有する。
仲裁の結果、仲裁人は「仲裁判断」を書きます。この仲裁判断は、裁判で言えば、判決に当たるもので、仲裁判断は確定した判決と同一の効果があります。仲裁判断によって強制執行ができるということです。
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当事者は、仲裁判断に不服があっても、異議を申し立てることができない。
仲裁は、当事者が仲裁人の仲裁判断に従うことを約して始まりますので、仲裁判断に不満がある場合でも、裁判のように上訴(控訴、上告)をすることができません。1回限りで決着がつくということです。
仲裁手続の流れ
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仲裁合意
仲裁のスタートは、当事者の「仲裁合意」です。仲裁合意とは、ある紛争について仲裁を利用して解決することの合意で、書面であることが必要です。
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ルール、仲裁人の選任
仲裁に関する法律には、仲裁法(平成15年8月1日法律第138号)があります。仲裁は国際商事紛争に利用されることが多いので、国連でモデル法を作成しており、日本もそれに準拠した仲裁法を定めています。
また、仲裁の進め方も当事者の合意によることができますし、仲裁人は3人選任することが一般的ですが、当事者が各1名を選任し、当事者に選任された仲裁人2名がもう1名の仲裁人を選任することもできます。
仲裁と司法書士
司法書士法第3条には、紛争の価額が140万円以下の仲裁事件については、司法書士が代理することができるとの規定がありますが、仲裁人に関する規定は存在していません。
仲裁人に資格は不要で誰でも仲裁人となることができると解されています。特に、簡易裁判所事件の代理権(簡裁代理権)を持つ認定司法書士であれば、少なくとも紛争の価額が140万円以下の事件であれば、仲裁人となることは問題ないと考えています。
また、一部の司法書士会調停センター(ADRセンター)では、調停として取り扱った事件で合意に至らず当事者が望む場合、仲裁による解決をする試みを実施しています。まだ、試行的な段階ですが、徐々に広めて行く予定です。
仲裁が適当な事案
例えば、次のような事案は仲裁で解決できるのではないかと考えています。
- 話し合いにより両当事者の理解は深まったが、合意による紛争解決には至らず、当事者双方が、第三者により中立な判断を望んでいる場合
- 当事者の居住地が遠方であり、同席できないため調停が開始しないケースで、当事者双方が第三者による中立的な判断での解決を望んでいる場合
- 当事者に紛争解決の意思があるが、調停センターでは解決しなかったケースの次の選択肢のひとつとする場合
- 不動産登記に協力しない当事者に対して、訴訟を提起したくはないが、単独で登記申請することを望む場合
- 日本司法書士会連合会の取り組み