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ニュースリリース
2007年(平成19年)10月18日
消費者金融「クレディア」民事再生対応 司法書士会が全国で緊急110番を開催します ~全国で20万人とも推定される利用者救済のため~
日本司法書士会連合会
全国各地の司法書士会では、10月から11月にかけて、クレディア利用者の不安解消や今後の対処方法について無料で相談を受ける「クレディア110番」を開催します。そして、クレディア利用者が、更なる多重債務被害や不当な扱いを受けることがないよう、法的支援を積極的に行います
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平成19年9月14日、東証一部上場の消費者金融「株式会社クレディア」(本社 静岡県静岡市)が、東京地方裁判所に民事再生手続の開始を申し立て、同年9月21日に再生手続開始の決定がなされました(事件名 平成19年(再)第169号再生手続開始申立事件)。
約20万人と推定されている同社利用者の間には大きな不安や混乱が広がっていますが、その8割が静岡県外の利用者とされていることから、日本司法書士会連合会(所在地:東京都新宿区、会長:佐藤純通、以後、「当連合会」という)は、全国の司法書士会に呼びかけ、緊急に、利用者からの相談を無料で受ける「クレディア110番」を開催することとしました。→今後の権利関係/債権届出期間は11月26日まで
クレディアの利用者は「債務者」ですが、所謂「グレーゾーン金利」での過払い返済状態にある「債務者」は、今回の民事再生手続の中で「債権者」になる可能性があります。消費者金融の多くは、利用者にグレーゾーン金利で貸してきましたが、近年の判例に照らして再計算すると、ほとんどの場合、グレーゾーン金利は無効であり、クレディアについても同様に推定されます。長期間にわたりクレディアと取引してきた利用者のほとんどは、返済金利の過払い状態にあると推定されます。
しかし、クレディア民事再生手続で、債権者は11月26日までに届け出ないと、この手続から除外され、事実上、過払い金の返済を受けることができなくなってしまいます。そして、利用者のほとんどは、司法書士など法律家に相談しない限り、自らが上記の状態にあることを認識できないのが実情です。→各地の司法書士会で緊急無料相談会を開催
当連合会は、上記事態を憂慮し、急遽、全国司法書士会に対して、「株式会社クレディア民事再生申立に伴う全国一斉110番」の実施を依頼しました。それに呼応し、全国各地の司法書士会で緊急110番を開催、または開催予定です(資料01)。一人でも多くの利用者を救済するため、準備の整った司法書士会より可能な限り早くに実施されています。実施に当たっては各メディアにその周知を依頼し、積極的に利用者に呼びかけ、相談会においては、相談者の現状を聞き取って法的整理を行い、的確なアドバイスを行います。
→地元の静岡県司法書士会では
クレディアの本社所在地である静岡の静岡県司法書士会では、全国に先駆けて、即座に「緊急110番」を実施し、利用者の相談を受けました。その相談件数は9月16日から10月12日までの間で、1800件以上にもなりました(資料03・現在も相談受付中)。相談内容としては、民事再生手続や利息制限法について、債権譲渡通知について、債務整理手続や司法書士に依頼した場合の費用について、信用情報機関への登録についてなどに多数の質問が寄せられました。
また、クレディアに対する申入れの他、クレディアの貸付債権の譲渡を受けた静岡銀行とも協議を行い、利用者の権利保護に努めております。
→今後のリーディングケースとして
今回のクレディアの案件は、東京証券取引所に上場する消費者金融破綻の初めてのケースとなりましたが、近年のグレーゾーン金利に関する判例により、今後も同様のケースが起こりえることが予想されます。今回の案件では、クレディアから貸付債権の譲渡を受けた静岡銀行が利用者に「債権譲渡通知書」を送付し、利用者に一層の不安と混乱が広がりました。こうした案件においては、全てのステークホルダーが民事再生手続の理念を潜脱することなく、結果として利用者が不利益を被ることのない様な環境整備が、あらゆる方面から必要になります。当連合会は、東京地方裁判所に申入れを行い、また、クレディア、全国信用情報センター連合会、金融庁にも協議の申入れを行う予定です。
これを踏まえ、今後同様のケースが起こった際には、民事再生手続が公正適切に行われ、情報の少ない利用者が不利にならないようにしなければなりません。
→司法書士会は今後も消費者問題への対応に取り組みます
司法書士はこれまでも多重債務の「現場」に関わる法律家として、この問題への法律家関与の必要性を痛感し、司法書士会としても相談窓口の整備に努め、消費者保護法制全般について検討して提言を行うなど、積極的にこの問題に取り組んできました。平成18年12月13日成立の「貸金業規制等に関する法律等の一部改正する法律案」の参院付帯決議では、学校教育や相談窓口について「司法書士会に必要な協力を要請」することが明記され、政府の「多重債務問題改善プログラム」においても、司法書士に期待されている役割は極めて大きく、今後もさらに取組みを強化していく予定です(資料04~06)。
司法書士は、今後起こりうる消費者金融会社の破綻に対しても迅速かつ適切に対応し、「市民に身近な法律家」として市民の権利保護に努めます。【添付資料】
資料01 「(株)クレディア民事再生申立に伴う全国一斉110番」実施一覧表(PDF)
資料02 平成19年9月21日 日司連会長声明
資料03 静岡県司法書士会「クレディア再生申し立てに伴う緊急110番」相談件数(~10月12日まで)(PDF)資料04 平成18年12月13日成立 貸金業法改正参議院付帯決議(PDF)
資料05 リーフレット:『相談窓口担当の皆様 住民から多重債務相談を受けて困っていませんか?』(PDF)
資料06 「行政の相談窓口のための多重債務問題相談支援ツール」(日司連HPよりDL)資料07 日本司法書士会連合会(日司連)概要(PDF)
資料08 全国司法書士会一覧別添資料 パンフレット:『こんな相談ならまずは司法書士へ!!』
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この件に関するお問い合わせ先
日本司法書士会連合会 広報課 志藤(しどう)、溝田(みぞた)
TEL:03-3359-4171 FAX:03-3359-4175
<住所>〒160-0003 新宿区本塩町9番地3 司法書士会館
<HP> http://shiho-shoshi.or.jp/