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会長声明集
2025年(令和07年)03月04日
ギャンブル等依存症に対する取組みについて(会長声明)
日本司法書士会連合会
会長 小 澤 吉 徳米大リーグ日本人選手の元通訳が違法賭博による借金返済のため、同選手の口座から不正な送金を行う等して銀行詐欺罪に問われた事件に対し禁錮刑が言い渡され、日米両国で大きな関心を集めた。
元通訳自身は、ギャンブル等依存症であることを告白しているが、ギャンブル等依存症は、本人が自覚していても、自力だけでは治すことができない恐ろしさがある病気である。
ギャンブル等依存症には、負けたら取り返すために再びギャンブルを行う、借金でギャンブルを行う、借入ができなくなったら犯罪をしてでもギャンブルを続ける、何度も嘘をつく、自己弁護をする、依存症を認めない(認めたくない)、自力だけではギャンブルを止められない等の特有の症状がある。
米国では、ギャンブル等依存症に起因する犯罪をした者は、ギャンブル等依存症の回復治療を行うこと条件に、警察当局と司法取引を行うことがある。日本と比較して米国の方が、ギャンブル等依存症に関する社会の認知が進んでおり、ギャンブル等依存症から回復するための支援機関が多く存在していること等がその証左である。このように、米国では、ギャンブル等依存症に起因する犯罪の場合、ギャンブル等依存症の治療が再犯防止に繋がることが社会全体で共有されていると言うことができる。
一方、日本では、ギャンブル等依存症と犯罪が深く関わっていることは、表面的に報道されるものの、誰もがなり得る依存症であることの社会の認知は進んでおらず、ギャンブル等依存症の症状は、個人の意志の弱さや性格の問題として片付けられてしまっているように思われる。
このような大きな関心事があったときこそ、正しい知識を報道し、社会での問題意識を高める努力をするべきであると考える。
当連合会は、借金問題等の解決、ギャンブル等依存症の支援機関等との連携等を通じて、ギャンブル等依存症の問題に取り組んできた。今後も、ギャンブル等依存症からの回復の促進、社会への啓発活動を行い、ギャンブル等依存症に苦しむ本人、家族の支援の一端を担っていく所存である。