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会長声明集
2023年(令和05年)06月06日
「民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」の成立に関する会長声明
日本司法書士会連合会
会長 小 澤 吉 徳
本日、民事執行、民事保全、倒産及び家事事件手続のIT化並びに公正証書のIT化を含む「民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」が成立した。
法律の内容は、令和4年5月18日に成立した「民事訴訟手続のIT化に関する民事訴訟法等の一部を改正する法律」(令和4年法律第48号)の内容を踏まえ、オンラインによる手続の申立てや各種記録の電子化、ウェブ会議を活用した各種期日等の実現といったIT化に直結するものばかりでなく、IT化を契機として、民事執行法における売却決定期日を経ない売却や配当期日を経ない配当など手続を簡素化する内容等も盛り込まれている。
また、公正証書の作成に係る一連の手続のデジタル化も図られ、公正証書のオンラインによる嘱託、ウェブによる面談に関する規律が整備されるとともに公正証書が電磁的記録で作成され、保存されることが原則となった。
いずれも各手続等が迅速化され、効率化されるもので、国民が手続をより利用しやすくするために必要な改正である。
本法律の施行により、手続を利用するために裁判所に書面を提出し、各種期日に現実の出頭をすることが求められてきた実務が大きく変わることとなる。
オンラインによる手続の申立てについては、改正民事訴訟法での議論を踏襲し、代理人等に委任しない当事者のオンラインの利用は任意とされたが、IT機器の利用によって手続を一層効率的に追行でき、郵送費用等を削減することができるうえ、ウェブ会議の利用により移動時間を短縮することもできる。
とりわけ、倒産事件においては、システムを利用することにより財産状況や破産債権の管理が容易となり、本人申立てが多い家事事件においても、手続のハードルが下がることが期待されている。
さらに、公正証書遺言が電磁的記録で作成され、保存されることが原則となるため、相続手続を始めとした各種手続にも大きな影響がある。
こうした国民の利便性向上について、法案審議に際し参議院法務委員会及び衆議院法務委員会のいずれにおいてもその附帯決議において、代理人等に委任しない者が電子情報処理組織による申立て等を利用する場合の本人サポート体制の構築に関して、日本司法書士会連合会及び司法書士への強い期待が述べられている。
当連合会は、全国の司法書士会及び司法書士と一丸となって、民事執行、民事保全、倒産及び家事事件並びに公正証書の作成に係る一連の手続等のIT化について、代理人等に委任しない当事者を十分にサポートするための万全の体制を整え、裁判所をはじめとする関係機関とも十分に連携を図っていく所存である。