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会長声明集
2022年(令和04年)03月19日
令和3年度第15回司法書士人権フォーラムを終えて~司法書士は地域共生社会づくりに積極的に参画します~(会長声明)
日本司法書士会連合会
会長 小澤 吉徳現在、わが国では少子高齢化や人口減少が進み、地域社会の持続が懸念されるなか、地域や家庭、職場における人と人との支え合いの基盤が脆弱化しています。また様々な分野の課題が絡み合って複雑化・複合化し、既存の法律では対応しきれない困難な課題や生き辛さが表面化しています。
このような状況に対応するため、地域共生社会づくりが目指されています。地域共生社会づくりにあたっては、既存の相談支援等の取組みを活かしつつ、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、①相談支援(断らない相談支援)、②参加支援(つながりや参加の支援)、③地域づくりに向けた支援を実施するとされています。
第二期成年後見制度利用促進基本計画においても、「地域共生社会の実現という目的に向け、本人を中心とした支援・活動における共通基盤となる考え方として『権利擁護支援』を位置付けた上で、地域連携ネットワークにおける権利擁護支援策の一層の充実などの成年後見制度利用促進の取組をさらに進めていくこと」が基本的な考え方として示される見通しです。
さらに、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の拡大によって、経済的困窮や孤独死、自死等様々な問題が発生し、現在も状況は極めて深刻です。個別の課題解決にいち早く対応できる各種制度の拡充・活用とともに、福祉的支援や法的支援から抜け落ちる市民のための重層的・包括的・継続的な支援体制の整備が求められています。
司法書士は、身近なくらしの中の法律家として、これまで地域の人たちの多様で複雑化・複合化した相談に幅広く応じ、困難を抱えた本人と二人三脚で法的手続きを通じた問題解決にあたってきました。また、地域が抱える課題解決のための様々な営みに参画し、権利擁護にかかわる各種制度の改善に向けた働きかけを行ってきました。これからもこのような取組を続けていきます。
そして、地域共生社会づくりにおける包括的支援体制は、今後の権利擁護支援のあり方を変容させる可能性を含んでいることから、国民の権利擁護を使命とする者として、個人の尊厳の原理に立脚した権利擁護支援の実現のために、これに責任をもって参画しなければならないと自覚しています。
私たち司法書士は、地域共生社会の理念・政策・具体的取組等を学び、地域や地域の人たちとのコミュニケーションを大切にし、高齢者、障がい者、子ども等の権利擁護、自死問題への取組、経済的困窮者の支援等において使命と役割を担い、権利擁護にかかわる問題の改善を不断に目指して、地域共生社会づくりに積極的に参画することをここに宣言します。