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会長声明集
2018年(平成30年)04月09日
裁判手続等のIT化検討会「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ」について(会長談話)
日本司法書士会連合会
会長 今川 嘉典
平成30年3月30日、「裁判手続等のIT化検討会」による「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ-「3つのe」の実現に向けて-」が取りまとめられました。
当連合会は、市民の司法アクセスの向上と裁判手続の迅速化・充実化に資することを目的とし、市民にとって利用しやすい裁判の実現のための手段とする裁判手続等のIT化の方向性には基本的に賛成します。
そして、当連合会は、裁判手続等のIT化に向けた課題の一つとしてあげられた「本人訴訟について」のサポートについて、最も注目しています。
なぜなら、司法統計によれば、平成16年から同28年までの、簡易裁判所における訴訟は平均70.86%が双方当事者本人訴訟となっており、地方裁判所においても平均20.20%が双方当事者本人訴訟であるためです。なお、地方裁判所におけるどちらか一方又は双方ともに代理人を選任していない訴訟は平均63.42%となっており、多数の訴訟が当事者本人によって追行されています。
さらに、平成16年から同28年までの被告の本人訴訟率は、司法統計上、簡易裁判所では平均92.25%、地方裁判所では平均59.45%となっています。
これらの代理人を選任せず追行される本人訴訟の当事者のサポートこそ、市民にとって利用しやすい裁判の実現のための裁判手続等のIT化の中心的課題であり、本人訴訟をこれまで支援してきた司法書士に課せられた役割でもあると考えています。適切な本人訴訟支援を遂行することにより、裁判手続等がIT化された際の、国民の裁判を受ける権利の保護に寄与することになると考えているからです。
当連合会としては、上記以外にも裁判手続等のIT化に向けた課題とされた様々な事項について、市民にとって利用しやすい裁判の実現のための手段という視点から、今後も検討を重ね、意見を述べてまいります。