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会長声明集
2018年(平成30年)03月11日
東日本大震災から7年-被災地・被災者支援の継続を-(会長声明)
日本司法書士会連合会
会長 今川 嘉典
東日本大震災の発生から7年が経過した。
しかし、死者約19,500名、行方不明者約2,500名、そして住宅被害(全壊)約121,700戸という未曽有の被害を生んだ大災害からの復興は、未だ道半ばである。
長期にわたる避難生活の影響から、災害関連死者数は今も増え続けており(平成29年9月30日現在で3,647名)、避難者数は減少したとはいうものの、約73,000名が全国各地(47都道府県、1,054の市区町村)で避難生活を強いられ、また、仮設住宅入居期限が迫る中、転居先を決められない被災者もいるという状況がある。その中で、マスコミ報道の数は少なくなっていることなど「震災の風化」が進んでおり、避難先で支援の輪から取り残され、孤立化する被災者も増加しつつある。
政府は、平成32年度までの「復興・創生期間」の「『総仕上げ』に向けた新たなステージにおいて、多様なニーズに切れ目なく、きめ細やかに対応」するとしているが、現場では、未だ生活再建のきっかけを見いだせない多数の被災者がいる。被災者に貸し付けられた災害援護資金の返済猶予期間の6年が経過し、平成29年12月から返済が本格化しているが、生活再建ができていない中での返済は、多くの被災者の重荷になっている。また、災害公営住宅の入居負担(家賃)の支援も縮小されてきており、被災者が立ち上がろうとしている意欲を削ぐ施策になっている。
日本司法書士会連合会(以下「当連合会」という。)は、これらの問題を見据えながら、平成29年11月に福島県双葉郡広野町に新設した災害復興支援事務所「相双司法書士総合相談センターふたば相談所」を含む9か所の災害復興支援事務所を拠点として、全国の司法書士会員の協力により法的サービスの提供、出張相談や巡回相談を行い、引き続き被災地・被災者の支援を継続していく。
復興状況は様々ではあるが、被災地に、そして全国に被災者がいることを忘れてはならない。「身近なくらしの中の法律家」を標榜する私たち司法書士は、この大震災からの復興事業にその知見を活かすことはもちろんのこと、被災者一人ひとりの生活再建、心の復興を支援する伴走者であり続けたいと考える。
当連合会は、被災地等の司法書士とともに現場に足を運び、全国の被災者の声を拾いあげ、真の生活再建のための多面的な支援活動に力を尽くしていくとともに、復興に向けた取組みをさらに積極的に行っていく。そして、この大震災で学んだ教訓を伝承していき、今後起こりうる災害の「備え」として防災・減災にも役立てていく所存である。