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会長声明集
2016年(平成28年)06月22日
貸金業法施行規則改正(平成28年熊本地震に伴う貸付けに関する特例)に対する会長声明
日本司法書士会連合会
会長 三河尻 和 夫
当連合会は、今般の貸金業法施行規則の改正に強く反対し、被災者が生活費等の支出について高金利の借入れを利用する必要のないよう給付金等の支給を速やかに行い、また、借入れを必要とする被災者に対する行政による貸付を簡便迅速に行うよう強く求める。
金融庁は、平成28年熊本地震の被災者が貸金業者から容易に借入れができるよう4月22日に貸金業法施行規則を一部改正した。その具体的な内容は、貸金業法13条の2第2項の過剰融資規制である総量規制(収入の3分の1を超える貸付けの禁止)の例外である個人に対する緊急費用・個人事業主・極度額方式による総量規制の枠内貸付け・配偶者の収入合算の借入手続きにおいて、領収書・収入証明書等の書類の提出なく借り入れができるとするものである。
しかし、総量規制は多重債務被害を防止するための貸金業法の根幹とも言える重要な規定であり、その例外の適用は極めて制限的な場合にのみ認められるべきものであることから、パブリックコメントの募集を適正に行い、広く意見を求めるべきと思料する。
今回の熊本地震のように被災者が緊急に生活費を要する場合の支援は、高金利での借入れを容易にすることではなく、被災者生活再建支援金・災害弔慰金・災害障害見舞金・義捐金等の速やかな給付及び災害救助法第4条第2項に基づく給付によるべきである。
また、借入れを必要とする個人事業主に対しては、中小企業庁が被災中小企業・小規模事業者向けに実施している施策のように行政による緊急小口資金貸付・災害援護資金貸付等の貸付制度を早急に実施できるよう整備することで、資金供給の円滑化を図るべきである。