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会長声明集
2015年(平成27年)04月22日
渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例の可決にあたっての会長声明
日本司法書士会連合会
会長 齋 木 賢 二
渋谷区議会で本年3月31日、男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例(以下「条例」という。)が賛成多数で可決された。条例は、男女平等と多様性を尊重する社会の推進に関して基本理念を定め、多様な個人を尊重し合う社会の実現を図ることを目的とするものであり、当連合会は条例の理念、目的に賛同する。セクシュアルマイノリティの当事者は、統計にもよるが、人口の5%程度存在すると言われている(電通総研「LGBT調査2012」)。しかし、現在、日本社会において、社会に無理解や偏見が存在することから、セクシュアルマイノリティ当事者は、当事者であることを公言できない状況に追い込まれており、その存在は可視化されていないのが現状である。
そして、セクシュアルマイノリティの当事者の社会生活上での困難は様々なものがある。中でも、同性パートナー間においては、その関係を示す住民票の記載方法が用意されておらず、行政による公的証明が存在しないため、パートナーが入院した際に、同性パートナーは家族ではないとして病院に面会を断られたり、不動産賃貸借契約の締結を不当に断られたりする不利益を被ることがある。
今回の条例の可決により、渋谷区に在住する同性パートナー当事者は、行政によるパートナーシップの証明の方法を得られることとなった。行政が、同性パートナーに関する社会生活上の困難の解決に踏み出したと言えるものであり、大きな意義がある。
ただし、パートナーシップ証明について、相互に相手方を任意後見受任者とする任意後見契約を締結することや、共同生活に関する契約書の公証が要件とされているのは、同性パートナー当事者にとって過重な負担であり、今後の改正を望みたい。また、経済的理由から、公証役場を利用できない場合においても、柔軟な対応を望む次第である。