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会長声明集
2015年(平成27年)03月11日
東日本大震災復興事業支援活動強化のために(会長声明)
日本司法書士会連合会
会長 齋 木 賢 二東日本大震災発生から4年が経過した。巨大地震と津波による被災は,東北三県(岩手県・宮城県・福島県)を中心に北海道から関東にまで広がり,多くの尊い人命と財産が失われた。また,津波によって起きた福島県における東京電力福島第一原子力発電所の事故による被害は現在も進行中である。
日本司法書士会連合会(以下「当連合会」という。)は,震災後直ちに統合災害対策本部を設け,被災地の司法書士会に災害対策実施本部を設置して,各自治体,日本司法支援センター(法テラス)及び関係諸団体と連携して市民救援活動を行い,現在も,被災地に8箇所の災害復興支援事務所を設置して,無料相談,巡回相談等を継続して実施している。
被災地の司法書士会は,司法書士の専門性を発揮し,防災集団移転促進事業(高台移転)等のための用地取得事務等を効率よく進めるため,復興庁及び自治体と連携して復興の妨げとなっている相続未登記問題等に積極的に取り組んでおり,当連合会はそれを組織的に支援している。用地取得事務等については,復興庁の要請により,司法書士が同庁の職員となって被災市町村に協力しており,当連合会としては,さらに協力が可能となるように体制を整えていくこととしたい。
東京電力福島第一原子力発電所事故については,福島県司法書士会を中心に,原子力損害賠償紛争解決センター(いわゆる「原発ADR」)の手続きを通じて被害者の損害回復に向けた活動を実施するとともに,環境省の中間貯蔵施設設置事業のための登記推進事業を行うなど,より適切で迅速な対応をしていきたい。
また,長期化する避難生活やコミュニティの崩壊等によって精神的に疲弊しつつある被災者の心のケアに対応することが重要であり,復興促進策の一環として建設が進められている災害公営住宅の入居要件として連帯保証人を求められることが新たな問題として浮上していることから,その対応も必要であると考えている。
残念ながら,これからも自然災害は避けられない。東日本大震災の翌日未明には,長野県北部を震源とする地震により,栄村を中心に甚大な被害が発生し,その後も様々な災害が発生している。現在,当連合会では,平成25年の伊豆大島の台風による被害,昨年8月17日に発生した広島市の豪雨による土砂災害,11月22日の長野県北部地震による白馬村や小谷村の被災について,地元司法書士会が実施する相談活動などの市民救援活動を支援している。
当連合会そして司法書士は,これからも被災者が一日でも早く安心して生活できるように,市民救援活動を実施するとともに,復興のために司法書士が貢献できる事業に積極的に取り組み,社会的使命を組織的に全力で果たしていく所存である。