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会長声明集
2006年(平成18年)07月31日
「日本司法書士会連合会市民救援基金による被災者に対する法的支援活動について」
~新潟中越地震における被災者救援活動報告~日本司法書士会連合会
会長 中 村 邦 夫日本は世界の中でも地震や台風などの自然災害が極めて多く、毎年何らかの自然災害により被害が多発している現状にある。これらの災害において、当初は生命の安全やライフラインの確保のための支援活動がなされるが、同時に(あるいは少し遅れて)発生するのが災害に起因する法律問題である。日本司法書士会連合会では、平成7年の「阪神・淡路大震災」を契機として、被災者が抱える法律問題を解決するための相談活動を中心に、被災者の法的支援活動に取り組んできた。
そして平成11年、当連合会に「日司連災害対策室」を常設し、被災地域に直ちに災害対策本部を設置できるような体制を構築すると同時に、災害により司法書士の法的サービスを受けることが困難な被災者を救援するための基金として「日司連市民救援基金」を創設した。
この市民救援基金は、基金を活用して、被災地の現地調査、被災地における法律相談活動、被災者に対する司法書士業務報酬相当額の支援等を行うものであり、これまで、平成12年の有珠山噴火災害以来、新潟中越地震災害にいたるまで大小10件以上の災害において、市民救援基金約9,200万円が活用されている。
特に、司法書士業務報酬相当額の支援は、災害に起因する登記手続や債務整理事件など司法書士が扱う業務において、本来なら被災者が支払うべき司法書士報酬を市民救援基金から支出するもので、被災者に対して直接的な支援を行うものである。
平成16年10月に発生した新潟中越地震において、当連合会は、新潟県司法書士会に「新潟中越地震災害救援対策本部」を設置し、被災者を対象とする災害法律相談事業をはじめとし、長期間にわたる被災者救援活動を実施した。
今般、上記対策本部を解散し、最終的な活動報告がなされたので、ここにその内容を公開するとともに、被災者救援活動を通して得られた情報や経験をもとに、更に充実した支援態勢を検討していく。現在、被災者に対する登録免許税等の軽減・免除措置を始めとする要望を政府に対して行っているところであるが、今後も被災者に対する法的支援を充実させるための提言を行う予定である。
当連合会は、今後も起こりうる災害の被災者に対して、日司連市民救援基金を活用した法的支援活動を積極的に推進していく決意である。