-
総会決議集
東日本大震災の被災者及び東京電力福島第一原子力発電所事故の被害者の支援並びに被災地の復興支援の継続、風化防止の対策並びに将来の大災害への対策に取り組む決議
【議案の趣旨】
日本司法書士会連合会は、今後も東日本大震災の被災者及び東京電力福島第一原子力発電所事故の被害者の生活再建の支援並びに被災地の復興を支援する活動を長期的かつ継続的に行うことを改めて決意し、また、風化防止の対策及びこれまでの活動の検証による将来発生しうる大災害への対策の必要性を認識するとともに、下記の事項に積極的に取り組むことを決議する。
- 避難生活を余儀なくされている方々が抱える問題を解消するため、その方々の声に耳を傾け、寄り添う支援活動を継続すること。
- 復旧、復興や、被災者、被害者の生活再建の妨げとなる課題について、司法書士の立場から、国や自治体に対して必要な提言などを行うこと。
- 風化防止のための対内的、対外的な対策を行うこと。
- これまでの対応や活動を振り返って検証し、将来発生し得る大災害への対策や発災後の支援活動に活かすことができるよう研究、整備し、その成果について広く普及を図ること。
2015年(平成27年)06月26日
日本司法書士会連合会 第78回定時総会【提案の理由】
東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から4年が経過し、復旧、復興が少しずつ進む一方で、今なお多くの方々が、住み慣れた故郷を離れた地域や仮設住宅等での不自由な避難生活を強いられている。復興庁の発表によれば、平成27年5月14日現在の全国の避難者等の数は約21万2千人であり、全国47都道府県の1,151の市区町村に所在している。被災地では仮設住宅を出た後の次の住居が決まっていない被災者もいまだ多く、高台への移転や災害公営住宅への入居が決まった被災者でも、その入居は2年後、3年後ということも珍しくない。また、東京電力福島第一原子力発電所事故により避難を余儀なくされている方々にとっては、いつ故郷に戻れるのか、そもそも戻ることができるのか、今後を見通すことができない状況に置かれ続けている。
このように、被災者、被害者及び被災地は、いまだ非常に厳しい状況に置かれているが、東日本大震災や東京電力福島第一原子力発電所事故に関する報道などが激減しており、風化が世間では進んでしまうことに大きな危機感を持っている。これらのことは過去のことではなく、現在も続いていることである。しかしながら、広く国民の理解を得られなければ、満足な復興、復旧、被災者や被害者の生活再建は到底なし得ない。
司法書士はこれまで、被災者や被害者、被災地に対する多くの支援活動、復興庁をはじめとする関係省庁や各地の自治体に対する多くの必要な提言を行ってきた。これらの支援活動や提言を継続し、さらに、対外的、対内的な風化防止のための対策を講じることにより、もって復興、復旧、被災者や被害者の生活再建に資することは、法律家たる司法書士の使命である。
また、災害大国と言われる我が国において、このような大災害が再び発生することも考えられ、そのための想定や対策も関係各所で既に行われている。司法書士は、これまでの復興、復旧や、被災者、被害者の支援活動で、多くの経験の蓄積を得た。仮設住宅や災害公営住宅等の住居の問題や、復興、復旧の妨げとなる相続登記未了の問題、原子力発電所事故の賠償請求に関する問題など、直面した問題は数多い。我々の活動を振り返って経験の蓄積を検証し、今後発生し得る大災害の対策と発災後の支援活動に活かす必要がある。
よって、本決議案を提案し、議案の趣旨記載のとおりの決議を求めるものである。
以上