-
総会決議集
北方領土返還要求運動の拠りどころである釧路地方法務局根室支局の存続を求める決議
【議案の趣旨】
日本司法書士会連合会は、北方領土返還要求運動の拠りどころである釧路地方法務局根室支局を中標津出張所に統合して廃止することに反対し、その存続を求める。
以上のとおり決議する。
2009年(平成21年)06月19日
日本司法書士会連合会 第71回定時総会【提案の理由】
「根室」と言えば思い浮かぶことはやはり「北方領土」という言葉ではないでしょうか。北方領土は「わが国、固有の領土」であります。
北方領土問題等解決促進特別措置法の改正案がこの衆議院本会議で全会一致で可決されて参議院に送られ、今国会で成立の見通しであり、これにより国内法上初めて「わが国、固有の領土」と明記されることになりました。
この返還要求の声は戦後まもなくこの根室においてあがりました。
当時の根室町長はこの「わが国、固有の領土」から追われた人達の援護に全力をあげ、連合軍最高司令官あてに領土に関する陳情書を出しました。
これが返還要求運動の始まりであり、すぐに北海道内の各地に広がり、現在は全国にこの運動を推進する団体や組織がつくられ、さまざまな活動を行っています。
先月22日の北海道新聞によれば、「5月20日参議院予算委員会で首相が『四島は戦後60年以上を経てなおロシアの不法占拠が続いており、極めて遺憾』と述べたことに対し、ロシア外務省の報道局長は「(四島は)第2次大戦の結果を踏まえた適法なロシア領土だ。日本の(返還)要求こそ不法なものだ」と反発しており、また、衆議院での法案可決に対しても「忌々しい決定だ」と発言するなど、ここに両国の考え方の違いを表しているものと思われます。
わが国固有の領土である限り、たとえ100年、200年が経とうとも四島返還までこの声を枯らしてはなりません。そしてその運動の象徴であり、証しであり、元島民やその子孫達の父祖の形見でもあるもの、それが、北方四島の登記簿であり、台帳であります。この全てが釧路地方法務局根室支局に現在保管されています。
そして、「北方領土に所在する不動産の登記名義人の相続に関する暫定的取扱について」という昭和45年4月10日民事三発第327号により北方四島について「従前の登記簿又は台帳上の所有名義人については、相続関係を明確にしておくのが適当である」とし、根室支局では相続の申出がされた場合のみ、所定用紙に相続事項を記載する取扱を行っている他に、北方領土を含む根室市の戸籍事務の照会に対する回答や助言等を行っており、また、それらの記載事項証明書を発行し、この証明書は相続登記、戸籍訂正、各種給付金請求に利用されており、他の登記所にはない特別な役割を担っています。これは、北方領土に係わる元島民とその子孫並びに返還要求に係わる全国の人達にとって大変重要な存在となっております。戦後60年以上、わが国の領土返還要求の要となる位置に所在し、その要求の根拠であり、象徴であり、証しとなっているところがこの根室支局であります。
法務省は「国の行政改革の方針」に基づき、この根室支局を廃止し、そこから90キロほど内陸の中標津出張所に、その事務を統合することを示しました。
根室支局管内の南東端に位置する根室市より、同支局管内の中間に位置する中標津町が効率的であることも考慮した結果、これを統合し中標津支局(仮称)とすることを発表しましたが、この根室支局が北方四島返還要求の拠点であることの歴史とその重要性については一言も触れておりません。単に行革の視点から、のみの判断であり、これが日本の姿勢としてとらえられればロシアに誤ったメッセージを伝えることにもなりかねず、これは大きく国益を損なう結果となるものであります。そして、これは返還要求の怯みであり、弱体につながると危惧しております。
本年度釧路司法書士会定時総会にこれが上程され、全会一致により可決されました。今月6日の北海道ブロック司法書士協議会においても全会一致で可決されております。
一支局の統廃合問題という視点ではなく国土の問題、国益の問題として、この根室支局の廃止に反対し、存続を強く要求するものであります。
(釧路地方法務局ホームページ及び北方領土問題学習室より一部抜粋しました)