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総会決議集
東日本大震災による被災者及び東京電力福島第一原子力発電所事故による被害者に対する適切かつ継続的な救済を求める決議
【決議】
日本司法書士会連合会は、東京電力福島第一原子力発電所事故による被害者に対して、民法第724条の不法行為による損害賠償請求権の期間の制限が適用されないこと、東日本大震災の被災者等に係る登録免許税の免税措置が被災者の生活再建支援の視点での運用がなされることにより、被災者及び被害者のための適切かつ継続的な救済がなされるよう、国に対して法整備及び運用改善を求める。
以上のとおり決議する。
2012年(平成24年)06月29日
日本司法書士会連合会 第75回定時総会【提案理由】
東京電力福島第一原子力発電所の事故から1年3か月以上を経過しているものの、避難生活を送る被害者の中には、未だ賠償金の請求ができずにいる方々がいる。このような現状の中、賠償請求の根拠法となる原子力損害の賠償に関する法律には時効に関する規定がないため、民法第724条の不法行為による損害賠償請求権の期間の制限が適用されることとなる。被害が継続する間は時効が進行しないという考え方もあるが、その明確な判断はなされていない。
また、東日本大震災の被災者等に係る登録免許税の免税措置は、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律が制定される等により対応されているが、例えば、「被災建物の代替とする建物(代替建物)を新築または取得するための貸付に係る抵当権設定登記は代替建物の所有権保存または移転の登記と同時に受けるものであること」、「代替建物を被災者の3親等内の親族が新築または取得する際の免税措置を受けるのは被災当時被災者と同居していた親族であること」、「代替建物の敷地の用に供する土地を取得する際の取得する敷地の面積に制限があること」等、被災者救済の視点から不都合な内容があり、改善の必要性がある。
よって、被災者、被害者の救済及び生活再建支援のための法整備及び運用改善を求める。