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意見書等
2004年(平成16年)07月05日
法務省民事局民事第二課 御中
「新たな土地境界確定制度の創設に関する要綱案」に対する意見
日本司法書士会連合会
1.はじめに
現在の境界確定訴訟には、貴局民事第二課作成の「新たな土地境界確定 制度の創設に関する要綱案」(以下、「要綱案」という)補足説明に記載のとおり種々の問題が存し、その解決に向けた今回の新たな土地境界確定制度の創設に は、大要賛意を表するものである。ただし、当該制度創設の際における重要な視点は、改めて当方において指摘するまでもなく、国民がいつでもどこででも安心 して利用することが可能であり、かつ、利用者において手続の方法等にできる限りの満足が形成されるよう最大限の努力を傾注することであろう。
以上の観点から、日本司法書士会連合会は、要綱案の諸点について次のとおり意見を表明する。
2.手続保障について
要綱案第4の3「(3)境界確定委員会による調査」イ及びエに関係する、いわゆる当該関係者については、その手続保証につき、特段の配慮が必要である。特 に職権によって手続が開始された場合には、当該関係者については、まさしく「寝耳に水」の様相を呈する場合があり、必要的に意見陳述の機会を与える関係者 に対しては当然であるが、その他の場合であっても、意見の開陳及び資料の提出の機会は十分に与えられなければならない。この点に関し、要綱案では、申請に よる手続開始の場合と職権による手続開始の場合の差異を設けていないが、後者の場合については前者に比し特段の配慮が検討されるべきである。
さらに、本制度を利用ないしこれに関係する者の代理人として司法書士を活用すべきは、従来裁判所に提出する書類の作成業務若しくは訴訟代理人として司法書士が存在していた事実を踏まえ、これを認めるべきである。
3.委員の構成について
要綱案第4の3「(2)境界確定委員会の設置及び構成」イに関連し、今般創設を企図している制度は全国にまんべんなく十分な人員が確保されなければならな いものと考えられる。権利の登記申請手続代理業務及び裁判業務における境界確定訴訟に関与している司法書士は、全国に均在して事務所を有しており、委員会 を組成するための受け皿として十分に機能するものと考えられる。新たな土地境界確定制度は、一面で司法制度改革の性質を有しており、この観点からもその一 翼を現に担っている司法書士のさらなる活用が必要である。
4.調停について
要綱案第4の3「(5)境界確定委員会による調停」における調停制度は、ワンストップサービスの観点から国民の利便に資するものであり基本的に賛成する。 ただし、かかる調停は、所有権という国民にとって重要な財産権の変動を促す作用を有するものである。したがって、いわゆるADR制度の構築にも関係する が、かかる調停手続には、司法書士が当該関係者の代理人として参画できる方策が必要である。
以上