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意見書等
2021年(令和03年)01月22日
総務省サイバーセキュリティ統括官室 御中
タイムスタンプ認定制度に関する検討会取りまとめ(案)及び時刻認証業務の認定に関する規程(案)に関する意見書
日本司法書士会連合会
会長 今川 嘉典
当連合会は,総務省「プラットフォームサービスに関する研究会トラストサービス検討ワーキンググループ」において創設が提言された,タイムスタンプの国による認定制度(以下「タイムスタンプ認定制度」という。)に賛意を表する。タイムスタンプ認定制度は,政府レベルではEUにしかなく,我が国で制度化されれば国内外の様々な場面で利用されることが想定でき,DX等の推進に寄与するものと考える。
特に司法書士は,登記・裁判等業務を中心として電子署名等を日常的に取り扱っており,今後はタイムスタンプ認定制度に基づくタイムスタンプについても同様に取り扱うことを想定している。当連合会としては,タイムスタンプ認定制度が有効に活用されることを望んでおり,同制度が適正に運用されることを注視することとしたい。
以下,意見を述べる。1 タイムスタンプ認定制度に関する検討会取りまとめ(案)について
(1)トラステッドリスト(仮称)について【24ページ関係】
認定に係る情報は,トラステッドリストとして,過去の履歴情報も含め,マシンリーダブルな形式で長期に亘って公開すべきである。
マシンリーダブルな形式については,タイムスタンプが技術的にデジタル署名方式を採用する方向であることから,本認定制度において,各トラストサービス共通の標準的なデータ形式や構造等をいち早く定めて公開すべきである。
なお,各認定事業者も,認定を受けた業務によって発行されたタイムスタンプか否かを利用者が明確に特定できるよう情報を公開すべきであり(時刻認証業務の認定に関する規程第3条第5項第6項関係),長期に亘って当該情報の公開を維持すべきである。
(2)利用拡大に向けた取組について【29ページ関係】
国は,ユースケースについて常に調査し,可能な限り迅速かつ具体的に公表すべきであり,適用領域の更なる拡大に向けて,各省庁等だけでなく各民間団体とも協議し,必要な法令・ガイドラインの策定・改廃について積極的に行動すべきである。
また利用者の利便性向上や導入の契機となるよう,各トラストサービスの法的根拠や位置付け,その役割,相関関係等を俯瞰的かつわかりやすい方法で示すべきである。
特にタイムスタンプについては,既存の確定日付(民法施行法(明治31年6月21日法律第11号)第5条第1項第2号)や電子確定日付(同条第2項第3項)との差異を丁寧かつわかりやすく説明し,適用領域を更に拡大するとともに,無用の混乱が起きないようにすべきである。2 時刻認証業務の認定に関する規程(案)について
【第8条関係】
総務大臣は,認定事業者に対して「認定制度の適正な運営のために必要があると認めるときは,認定事業者に対し,改善その他必要な措置を指導することができる。」(第8条第3項)としているが,行政処分としては認定の取り消し(第9条)しか定められていない。認定制度の適正な運営のためには,業務停止命令等の中間的な行政処分も制度化すべきである。
【第23条関係】
指定調査機関についても同様に,行政処分としては指定の取り消し(第23条第1項)が定められているが,期間を定めた調査及び確認の業務の全部若しくは一部の停止については「要請することができる。」(同項)に留まり,認定制度の適正な運営のためには,業務停止命令等のより強い行政処分を制度化すべきである。