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意見書等
2020年(令和02年)09月03日
任意後見制度の利用促進に向けての提言
令和2(2020)年6月11日
任意後見制度の利用促進に向けての提言
“本人の意思を尊重し、利用しやすく信頼される任意後見制度とするために”日本司法書士会連合会
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート成年後見制度施行20年を経過した今、任意後見制度がわが国における高齢者・障害者の権利の擁護及び自己実現のよりよい仕組みとして将来にわたって発展することを願い、次のとおり提言する。
1.任意後見契約の発効を適切に行うために
(1)本人の選択により契約締結の事実を中核機関等に通知し、権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能を活用して本人の状況を確認する等し、必要に応じて当事者に任意後見監督人選任申立てを促す仕組みを構築すること。
(2)本人の意思の実現と財産管理の安全を図るため、監督の機能を持った第三者を含む三者契約、複数受任等を活用することにより任意後見監督人選任申立ての判断を複数当事者で行うことができる財産管理等委任契約を推奨する。
(3)本人の判断能力低下後、本人に異議がない限り速やかに任意後見監督人選任の申立てをすることを受任者の責務とする制度を構築すること。2.国、地方公共団体、成年後見等実施機関は、市民が任意後見制度の有用性を理解し、利用しやすくなるよう、より積極的かつ継続的な調査及び広報を行う
こと。3.任意後見契約においては、本人の意思が確認できなくなった場合に備え、本人の意思を反映した医療・介護方針とともに財産活用や事業承継における「任意後見人への指図書」等を作成し、自己決定の尊重、身上配慮重視のための指針とすること。
4.任意後見制度を利用する場合は、遺言や死後事務委任契約等に加えて、必要に応じて「福祉型の民事信託等任意後見制度を補完する制度」との併用を図ることにより、身上保護と本人の財産の管理・運用を一体的に行い、本人の意思をできる限り実現すること。