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意見書等
2019年(平成31年)02月12日
法務省民事局総務課 御中
「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令の一部を改正する省令案」に関する意見書
日本司法書士会連合会
会長 今川 嘉典
標記省令案につき,当連合会は,次のとおり意見を申し述べる。1.嘱託人の本人確認及び意思確認について
【意見】
本省令案は,公証役場へ出頭せずに法人設立を行う者の利便性の向上及び公証人の認証手続の効率化に寄与するものであるので,賛成する。
ただし,電気通信回線及び電話回線を使用してされる手続については,嘱託人に出頭を求めずに認証の付与を行うことから,嘱託人の本人確認及び意思確認については,慎重に行うべきであり,本人であることに疑いがある場合は,出頭を求めることができるようにすべきであると考える。
テレビ電話等による認証手続においては,公証人から嘱託人に対して,本人確認及び意思確認のために,テレビ電話等の画面に映っている者が嘱託人本人であることと,嘱託人が公証人へ嘱託する内容を確認することができるに足りる質問をすべきである。具体的には,嘱託人の氏名又は名称,生年月日,住所(資格者代理人が嘱託人である場合は,その事務所所在地),設立予定法人の商号又は名称を述べさせ,嘱託人が代理人として嘱託する者である場合は,その依頼者の氏名,生年月日,住所をも述べさせる必要があると考える。
【理由】
従来嘱託人が公証役場へ出頭することによりされていた面前での自認をテレビ電話等による方法に代えるわけであるから,テレビ電話等の画面に現れる者が嘱託人本人であることの確認は,出頭による場合と同等の本人確認及び意思確認を行うべきである。
2.同一の情報の提供について
【意見】
定款認証後の同一の情報の提供については,公証人から嘱託人へ郵送することを認めるべきである。なお,実質的支配者の申告受理及び認証証明書についても同様とすべきである。
【理由】
法人設立後に金融機関で口座の開設をする等の際には,認証文が付された書面としての定款が必要となるため,電子定款では,以降の手続に支障があり,電子定款による認証手続を採る場合においても,同一の情報の提供を請求し,受領することが一般的である。よって,テレビ電話等を利用して電子定款の認証手続を行った場合に,嘱託人の請求により,「同一の情報の提供」及び「実質的支配者に関する申告受理及び認証証明書」を公証人から嘱託人へ郵送することを認めるべきである。
3.特則について
【意見】
口がきけない者又は耳が聞こえない者が定款認証の嘱託人である場合にも省令案に定める方式を利用することができる特則を設けるべきである。
【理由】
口がきけない者又は耳が聞こえない者が定款認証の嘱託人である場合も想定されることから,通訳人の通訳を伴う手続も可能とすべきであり,また音声が文字に変換されて画面に表示されるシステムの導入を検討すべきである。
以上