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意見書等
2008年(平成20年)04月24日
経済産業省経済産業政策局産業資金課 パブリックコメント担当 御中
「ABLガイドライン(案)」に対する意見
日本司法書士会連合会
第2章 ABL実施上の留意点
【該当箇所】 1.借り手への説明
【意見内容】 借り手の立場等を勘案し、説明から実施手続に関して借り手を保護するための専門家の活用が必要である。
【理 由】 一般的に立場が弱く、交渉力に劣る中小企業等の借り手がABLを活用した融資を受ける場合、その仕組みやデメリットを理解しないまま金融機関等の貸し手の指図に従ってしまうようなケースが想定される。そこで、当ガイドラインにおいて、具体的手続場面を含め、借り手の利益を保護し、適正かつ円滑なABL実施のために弁護士・司法書士等法律の専門家の関与や説明の必要性について言及すべきと考える。第3章 担保物件の評価に関する留意点
【該当箇所】 1.適切な評価
【意見内容】 物件、特に動産の評価については、中立的評価機関や、いわゆる「動産鑑定士」といった制度の整備が必要である旨を言及すべきと考える。
【理 由】 担保物件については、適切な評価をしなければならないことは当然である。ただし、「適切に行われた」評価とはどのようなものであるのかという点について、例示的な指針を示す必要があると考える。第5章 担保物件の換価・処分に関する留意点
【該当箇所】 2.換価処分の実施時における留意点
【意見内容】 理念としては賛成する。しかし、担保物件の換価処分がなされる状況で貸し手と借り手間での信頼関係が毀損している可能性が高いことから、そのような状況下での処分対応について言及すべきと考える。【該当箇所】 3.処分内容の説明
【意見内容】 借り手及び担保提供者にとって、動産等の担保物件は事業維持のために欠かすことのできないものである。そのため、これらの担保物件の処分がどのようになされるかは、借り手及び担保提供者にとって非常に関心の高いことである。したがって、借り手だけでなく担保提供者に対しても説明を実施する必要がある。また、この説明は、「可能な状況であれば」「説明をすべき」でなく「不可能でない限り説明しなければならない。」とすべきと考える。【該当箇所】 4.換価処分における公正な取引の推進
【意見内容】 処分に関しての公正な取引を行うために、「動産民間競売システム」等の制度整備が必要である旨を言及すべきと考える。
【理 由】 処分事業者が公正に取引を行うことは当然のことであるが、公正な取引を行うための以下のような具体的な例示が必要であると考える。
① 複数の処分業者の確保
② 処分に際しての相見積りや入札の実施
③ 処分業者間の談合の禁止
④ 貸し手における処分価格および方法のモニタリングとそれにともなうシステムの整備
⑤ 「動産鑑定士」「動産民間競売システム」といった価格の透明性、方法の合理性を確保するための制度の創設【該当箇所】 5.処分の独立性の確保
【意見内容】 現状、我が国における動産を換価するための処分市場は、未成熟であることから、当面は裁判所による処分(動産執行)を活用し、処分の独立性、公正性を確保すべき旨を言及すべきと考える。第1章~第5章(全般)
【該当箇所】 全般について
【意見内容】 ガイドライン(案)全編の趣旨は理解できるが、遵守、禁止事項について、具体例を示す必要がある。