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意見書等
2010年(平成22年)05月25日
金融庁総務企画局企画課信用制度参事官室 御中
改正貸金業法に関する内閣府令の改正(案)に対する意見
日本司法書士会連合会
当連合会消費者問題対策部において下記のとおり、標記改正(案)に対する意見をとりまとめましたので提出します。
第1.意見の趣旨
1.内閣府令改正案中「総量規制に抵触している者の借入残高を段階的に減らしていくための借換えの推進」(規則第10条の23第1項第1号の2)について反対する。
2.仮に、かかる改正案を導入する場合には、債務者に利息制限法上限利率による引き直し計算を行う機会を保障し、法律上無効な債務を借換えの対象としないための措置を導入すべきである。第2.意見の理由
1.総量規制に抵触している借り手(以下「債務者」という。)の生活再建には法的手続きが最も有効であり、債務者を債務整理等の法的手続きに導くことを原 則的な方針とすべきである。借換えは、債務の返済を借入れで充てる行為にすぎず、多少借入れ条件を緩和したところで、債務総額の減少にはつながらず、生活 再建のための抜本的な解決にはならない。それよりも例えば総量規制に抵触する借入れをしている債務者が司法書士・弁護士に債務整理を依頼するような場合に は、事故情報を信用情報に掲載させない等の、法的手続きに導くためのインセンティブを検討すべきである。
2.仮に借換えの推進を導入する場合においても、貸金業者に従前取引の約定金利や取引履歴の調査を義務づけ、債務者に利息制限法上限利率による引き直し計 算の機会を保障すべきである。なぜなら、現状において最高裁判所判決によって貸金業法第43条に規定されるいわゆる「みなし弁済」の適用は、ほとんど全て のケースにおいて否定されている。つまり、借換え前の取引につき利息制限法を超過する約定利率が定められている場合、そのままの残高を基準に借換えを行う と、法律上、無効な債務を有効として借換えることとなり、最高裁判所判決の趣旨やみなし弁済規定を廃止した改正貸金業法の精神を否定することになる。した がって、借換えを行う場合、必ず利息制限法上限利率による引き直し計算を行う必要がある。方法については、以下のようなものが考えられる。
(1)日本貸金業協会のカウンセリングの中で調査を行う等の方法の検討。
(2)専門家(司法書士・弁護士)による引き直し計算を経ること。ただし、貸金 業者が特定の司法書士・弁護士等を指定する場合、利益相反の問題を生ずるおそれがあるため司法書士会・弁護士会等の公益性を持つ機関を紹介させること。