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意見書等
2010年(平成22年)09月24日
法務省民事局参事官室 御中
「家事審判法の見直しに関する中間試案」に対する意見
日本司法書士会連合会
標記中間試案について、以下のとおり意見を述べる。
●はじめに
家事審判法の見直しの目的である「国民にとって利用しやすく、現代社会に適合した内容に改正する」との理念に基づき、今まで、家庭裁判所で行われていた運用なども整理したうえで、法令の整備を行うことに賛成する。●意見の趣旨及び理由
1.法律の題名
【意見の趣旨】
「家事審判法」の題名について「家事審判調停法」が適当と考える。【意見の理由】
「家事審判法」という題名がこの法律の名前としてふさわしいかどうかであるが、家事審判のみではなく、家事調停についても定めた法律なので「家事審判調停法」とする方が国民にとってわかりやすいものになると考える。2.裁判所及び当事者の責務について
(第1総則-1裁判所及び当事者の責務)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
家事事件の手続きが公正かつ迅速に行われる必要から、裁判所及び当事者の責務についての規定を置くことに賛成する。3.家事審判官について
(第1-3家事審判官)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
他にふさわしい名前がなかなか見つからないという点において消極的に賛成するが、補足説明にあるように「国民に対する親しみやすさの観点」から検討を要すると考える。4.管轄権を有しない裁判所による移送又は自庁処理について
(第1-4管轄-(5)移送等-ア管轄権を有しない裁判所による移送又は自庁処理)
【意見の趣旨】
裁判所が自庁処理をなすための裁判は明示的にすべきこと及びその裁判をする際に当事者の意見を聴かなければならない旨の規定を設けるべきである。【意見の理由】
管轄権を有していない家庭裁判所がなす自庁処理の裁判後には、移送の申立てをすることができなくなるので、国民のわかりやすさという観点から、管轄権の有無を明確にするためには、自庁処理の裁判は明示的にすべきである。
また、自庁処理の裁判に対しては即時抗告が認められないことから、国民の混乱を避けるためにも、自庁処理に不服がある者に対し、移送の申立てをする機会を確実に与えるために、自庁処理の裁判をする際に当事者の意見を聴くべきである。5.管轄権を有する裁判所による移送について
(第1-4-(5)-イ管轄権を有する裁判所による移送)
【意見の趣旨】
裁判所が裁量移送をする際には、当事者から意見を聴かなければならない旨の規定を設けるべきである。【意見の理由】
どの裁判所で裁判をするのかについては、当事者の手続活動に影響を与えることから、国民の混乱を避けるためにも当事者の意見を聴くべきである。6.裁判所職員の除斥及び忌避について
(第1-5裁判所職員の除斥及び忌避について-(9)家事調停委員への準用)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、乙案に賛成する。【意見の理由】
中間試案では、甲案、乙案、丙案が併記されているが、調停委員が不偏で、調停が公正であるためには、調停委員について、除斥に関する規定のみならず忌避に関する規律も準用する必要があるとする乙案に賛成する。
当事者は、家事調停委員について、調停の公正を妨げるべき事情がある場合には忌避の申立てをすることができるべきであるので、除斥の制度だけで忌避のない甲案より、除斥、忌避の両方の制度のある乙案のほうが、国民にとって有利な制度だと考える。
丙案のように、除斥、忌避の制度を設けずに、裁判所の判断により、除斥、忌避事由がある調停委員を関与させないというのは、国民にとって必ずしもわかりやすい制度とはいえない。7.法定代理権の消滅の通知について
(第1-6当事者能力及び手続行為能力等-(5)法定代理権の消滅の通知)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、乙案に賛成する。【意見の理由】
中間試案では、甲案、乙案が併記されているが、乙案に賛成する。調停をすることができない事項についての家事事件においては、法定代理権の消滅事由が発 生したとしても裁判所が直ちに把握することはできず、手続の安定性等を理由に本人又は代理人から裁判所に通知しなければ、法定代理人の手続上の代理権は消 滅しないものとすることが、当事者、国民にとっても、親切であり、わかりやすいからである。8.脱退について
(第1-8脱退)
【意見の趣旨】
脱退に関する規定を置くことに賛成する。なお、脱退の要件の検討事項については、裁判所の許可のみではなく、他方当事者の同意も必要とすべきである。【意見の理由】
脱退に関して規定を置くことに賛成する。中間試案の補足説明には、「当事者として関与する必要がないと考える者は、事実上当該手続きに関与しなければよ いだけ」との意見も考えられるとしているが、それは法令をよく知る者の発想であって、法令に精通していない国民にとってわかりやすい考え方ではないので、 賛成しかねる。
また、脱退の要件の検討事項に関しては、裁判所の許可のみではなく、他方の当事者の同意も必要と考える。だれが当事者になるべきであるかは、当事者にとっても重要な事柄であるからである。9.任意代理人の資格について
(第1-9任意代理人-(1)任意代理人の資格)
【意見の趣旨】
司法書士法第3条第2項に該当する司法書士(以下「認定司法書士」という。)を任意代理人とすることができる旨の改正をすべきである。【意見の理由】
認定司法書士を含めて司法書士は、裁判所に提出する書類作成権限を有している。司法書士の書類作成権限の範囲に関しては、松山地裁判決(昭和52年1月 18日)にあるように「唯単にその口述に従って機械的に書類作成に当たるのではなく、その嘱託人の目的が奈辺にあるか、書類作成を依頼する目的が如何なる 目的を達成するためであるかを、嘱託人から聴取したところに従い、その真意を把握し究極の趣旨に合致するように法律的判断を加えて、当該の法律事務を法律 的に整備し完備した書類を作成するところにその意義がある」とされている。つまり、依頼人との面談を重ね、依頼人の真意に合致するように法律的に整備され た書類を作成するためには法的な知識が充分にないとその職責は果たせない。そのために、司法書士試験では、民法はもとより民事訴訟法、民事執行法、民事保 全法も試験科目とされている。
また、家事審判甲類の相続放棄や失踪宣告、不在者財産管理人選任、相続財産管理人選任等の相続関係の書類作成にも長年実績があり、相続登記を含む不動産登記申請においては、司法書士が全体の申請件数の9割以上を代理人として申請している。
さらに、成年後見制度において、現在、成年後見人等に選任される親族以外の専門職能としては司法書士が一番多く選任されており、成年後見人等として活躍している。
加えて、全国の裁判所において、家事調停委員、民事調停委員、参与委員、司法委員等に多くの司法書士が就任し、活躍している。
ところで、認定司法書士の制度は、弁護士不足などにより国民の権利擁護が十分でない実態に鑑みて、司法制度改革審議会から出された「訴訟手続において、 隣接法律専門職などの有する専門性を活用する見地から、司法書士への簡易裁判所での訴訟代理権については、信頼性の高い能力担保措置を講じたうえで、これ を付与すべきである」という意見に基づき、平成15年4月1日に施行された改正司法書士法によって新たに設けられた制度である。そして、施行から7年が経 過し、簡易裁判所における訴訟代理業務を通じて、特に債務整理を中心とする消費者救済事件や労働事件などで大きな成果を挙げている。
以上により、裁判事務や家事・相続事件に精通し、成年後見人等及び裁判所の各種委員として実績がある司法書士のうち、信頼性の高い能力担保措置が講じられたうえで民事訴訟法上の代理権をもつ認定司法書士を、家事審判手続において任意代理人とすべきである。10.任意代理権の消滅の通知について
(第1-9-(7)任意代理人の資格)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、乙案に賛成する。【意見の理由】
甲案と乙案の違いは、調停することができない事項についての任意代理権の消滅の時期の違いになる。甲案では、他方の当事者や裁判所に伝える必要がない が、乙案では裁判所に通知する必要がある。裁判所に伝えないと、代理権の消滅がわからない可能性があることから、裁判所に伝えることを要件とした乙案に賛 成する。11.補佐人について
(第1-9-(8)補佐人)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。12.手続費用の負担について
(第1-10手続費用-(1)手続費用の負担)
【意見の趣旨】
審判手続の費用のうち、後見開始等審判手続費用は原則「本人」負担と明記すべきである。【意見の理由】
後見開始等審判手続きにおいては、申立人は本人の利益のために申立てるのであるから審判手続費用は、原則「本人」負担と明記すべきである。13.調査の嘱託等について
(第1-12裁判資料-(4)事実の調査-オ調査の嘱託等)
【意見の趣旨】
中間試案にDVの被害者の住所の調査嘱託については、明文化すべきではない。【意見の理由】
補足説明中に、DVの被害者の住所の調査嘱託について明文の規律を置くべきとの意見に対し、裁判所の中立性という観点からも疑問がある等の理由から規律を置くことは相当ではなく、運用にゆだねるべきであるという意見があり、後者の意見に賛成する。14.子の意見表明について
(第1-15子の意見表明)
【意見の趣旨】
子が影響を受ける事件において、裁判所が、子のために、子の意見を代弁する者又は子の客観的利益を主張する者を選任することができるものとすべきである。【意見の理由】
子の立場に立ってその意思表示等を手続に反映させるための独立した手続主体を選任できる制度を導入することは、より子のためになると考えるからである。15.意見聴取等について
(第2家事審判に関する手続-1通則-(2)参与員-ア意見聴取等)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
家庭生活や社会の実情に通じた国民の参加を得て、その意見を事件の解決に反映させることは、当事者にとって有益である。16.参与員による説明の聴取について
(第2-1-(2)-イ参与員による説明の聴取)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。ただし、参与員が聴取した結果について、書面で裁判所に報告するものとする旨の規律は置くべきではない。【意見の理由】
参与員は、裁判官や裁判所の職員とは違い、一般の国民から選ばれるため、書面での報告を義務づけることは、参与員の負担が大きいと考えられる。17.調書の作成等について
(第2-1-(4)調書の作成等)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、乙案に賛成する。【意見の理由】
手続きにおける簡易迅速性には配慮しつつも、経過の要領を記録上明らかにしておくことが、実務上適していると考えるからである。18.記録の閲覧等の要件等について
(第2-1-(5)記録の閲覧-ア記録の閲覧等の要件等)
【意見の趣旨】
③ただし書きについて、「その他相当でないと認められるとき」という包括的な規律を置くべきである。【意見の理由】
③ただし書きに列挙される規律の内容以外に禁止すべき場合が出てくる可能性が否定できないからである。19.即時抗告について
(第2-1-(5)-イ即時抗告)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
3案のうち、当事者、国民にとって、最も抗告の機会が与えられる甲案に賛成する。
20.合意管轄について
(第2-2家庭裁判所の手続-(1)合意管轄)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、乙案に賛成する。【意見の理由】
審理の対象となる事項が一定の範囲で当事者の処分にゆだねられているものであり、当事者が合意した地で審判をすることは、事案の解決の上でも有益である。21.併合申立てについて
(第2-2-(2)家事審判事件の申立て-イ併合申立て)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
国民にとっては、併合申立てができるほうが、利便性があり、有利である。22.裁判長の手続指揮権について
(第2-2-(3)裁判長の手続指揮権)
【意見の趣旨】
裁判長が当事者に対して釈明を求めることができる旨の規律を置くべきである。【意見の理由】
手続関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、資料の提出を促すことは、法律的な知識のない者にとっても有利になるからである。23.陳述聴取
(第2-2-(6)調停をすることができる事項についての家事審判事件の特則-イ陳述聴取)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
審問を基本としつつも、迅速な解決のために書面照会等によるべき場合や、当事者に心理的な混乱があり家庭裁判所調査官が聴取する方が適切な場合があり、事案に応じた柔軟な対応が可能であって、当事者にとっても、利便性のある制度になると考えられる。
なお、この場合であっても、当事者が裁判所に対して審問の期日を開くことを求めることができるように、当事者に審問の申立権を付与すべきである。24.事実の調査の告知について
(第2-2-(6)-エ事実の調査の告知)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
調停をすることができる事項についての家事審判事件においては、当事者が事実の調査の結果について閲覧謄写等をする機会を保障し、もって当該結果に適切 な対応をとることができるように、その旨を当事者に告知すべきである。また、調停をすることができない事項についての家事審判事件においても、事実の調査 の結果、審判に重大な影響を及ぼすことが明らかになった場合には、当事者に記録の閲覧等のきっかけを与え、審判資料の補充等の機会を保障し、審判が不意打 ちにならないように事実の調査をした旨を当事者及び利害関係参加人に告げるものとする旨の規定を置くべきである。25.審判日について
(第2-2-(6)-カ審判日)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
当事者にとって利便性にかなうものであるため、当事者が審判日を予測できるようにするための規定を置くことに賛成する。具体的には、終局審判日またはその予定時期を当事者に告知する旨の規律を置くことが望ましい。26.その他について
(第2-2-(6)-キその他)
【意見の趣旨】
当事者照会制度に関する規律を置くべきではない。【意見の理由】
当事者が裁判所を介さずに直接やり取りすることにより、私生活の秘密や子の福祉について知るべきでない情報を知り得たり、当事者間の強い感情的な対立がある場合に、かえって当事者に過度の負担が生じ、重大な心理的影響を及ぼす等の弊害が懸念されるからである。27.審判の取消し又は変更について
(第2-2-(8)裁判の取消し又は変更-ア審判の取消し又は変更)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
審判の基礎となった事情が変更した場合には、審判の内容を変更することが相当である。
なお、当事者の利便性から、審判を取消し、又は変更する場合には、当事者及びその審判を受ける者の陳述を聴かなければならないものとすべきである。28.終局審判前の申立ての取下げの要件について
(第2-2-(9)取下げによる事件の終了-ア取下げの要件-(ア)終局審判前の申立ての取下げの要件)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
申立人にとっては、相手の同意がなくても取り下げられる方が良いが、相手方にとっては、同意なく勝手に取り下げられても困るという状態になる。どちらが 良いか、バランスを考えると甲案を相当と考える。相手方にとっては、話し合いを続けたいのであれば、相手方が新たに調停を申し立てることにより、実現でき るからである。29.終局審判後確定前の申立ての取下げの要件について
(第2-2-(9)-ア-(イ)終局審判後確定前の申立ての取下げの要件)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、丙案に賛成する。【意見の理由】
当事者の有利、不利から考えると、審判、調停の安定性も重視している丙案に賛成する。
なお、相手方の同意を要する場合に、相手方が同意をするか否かについて態度を明らかにせず、あるいは所在不明のためにその意思を確認することができない ことも予想されるので、実務上、事件処理が滞ることのないように、取下げの同意の擬制に関する規律を置く必要があると考える。
また、期日に出頭しない当事者に対して取下げ擬制の規定を置くべきかという検討課題がある。実務上、当事者が期日に出頭しないことにより事件処理が滞ることがないようにするため、申立ての取下げの擬制に関する規律を置く必要があると考える。30.調停をすることができない事項についての家事審判事件について
(第2-3不服申立て等-(1)審判に対する不服申立て-ア抗告審の手続-(カ)抗告があったことの通知-a調停をすることができない事項についての家事審判事件)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、乙案に賛成する。【意見の理由】
甲案と乙案を比べると、当事者、利害関係人に対して、より配慮がある乙案に賛成する。また、原審の当事者等が抗告人の主張を十分把握するためにも、抗告 の通知は、抗告状の送付に限定すべきであるが、抗告状そのものが、当事者等への配慮に欠ける場面が想定できるなら、必ずしも、限定すべきではないと考え る。31.調停をすることができる事項についての家事審判事件について
(第2-3-(1)-ア-(カ)-b調停をすることができる事項についての家事審判事件)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、乙案に賛成する。【意見の理由】
甲案と乙案の違いは、甲案の迅速処理をとるか、乙案の手続保障をとるかということになる。当事者への配慮を重視する乙案に賛成する。32.調停をすることができる事項についての家事審判事件について
(第2-3-(1)-ア-(キ)陳述聴取-b調停をすることができる事項についての家事審判事件)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
迅速な処理の要請よりも当事者の利益に配慮のある甲案に賛成する。
なお、当事者の陳述を聴く方法については、審問を基本としつつも、迅速な解決のために書面紹介等によるべき場合や、当事者に心理的な混乱があり家庭裁判 所調査官が聴取する方が適切な場合もあることから、事案に応じた柔軟な対応が可能となるよう、必ずしも審判の期日を経る必要はないと考える。33.家庭裁判所による更正について
(第2-3-(1)-イ即時抗告-(ウ)家庭裁判所による更正)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
当事者にとって有益と考えられるので、甲案に賛成する。34.管轄及び保全処分の要件について
(第3審判前の保全処分に関する手続き(総則)-2保全処分-(1)管轄及び保全処分の要件)
【意見の趣旨】
本案係属を必要とする甲案と不要とする乙案については、後見関係の保全処分に関するものについては甲案に賛成する。【意見の理由】
婚姻費用の分担や養育費等は、生活に直結しており非常に緊急性があるので、本案前に申立てを可能とするべきであるとの乙案に賛成する意見もあるが、成年 後見等開始審判と後見人等解任審判を本案とするものについては、①保全処分の疎明資料と本案の添付書類に大きな差がない点、②乙案に起訴命令類似の手当を したとしても、保全処分において一定の問題が解決した場合、本案の申立てをしない可能性もある点を考慮して本案係属を要件とする甲案に賛成する。35.管轄について
(第4家事審判及び審判前の保全処分に関する手続き(各則)-1成年後見に関する審判事件-(1) 管轄)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
現行の関連事件の申立ての管轄は、申立ての種類により被後見人の住所地や後見人の住所となっており、後見開始の審判をした裁判所以外の裁判所になることもある。その場合は、自庁処理も可能であると思われるが、管轄は統一化すべきである。36.手続行為能力について
(第4-1-(2)手続行為能力)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
たとえ民法で行為能力が制限されていても、意思能力がある限り全ての行為を制限されてはならない。37後見開始の審判事件について
(第4-1-(3)精神状況に関する意見聴取等-ア後見開始の審判事件)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、現行の取り扱いどおりである乙案に賛成する。【意見の理由】
経済的・時間的な負担や鑑定実施率の低下の現状を理由に、鑑定は例外規定でよいとする意見もあるが、本人の行為能力を制限するものであるので、原則鑑定 は必要である。また、例外で鑑定を実施しない場合でも、いわゆる植物状態等である場合には鑑定不要との試案の方向でよいと考えるが、その植物状態等である と判断する基準が、診断書にのみ依拠するのではなく、調査官もしくは参与員を活用する等、本人の状況に関する確認作業をなすことにより、権利制限に対する 配慮をもって進める必要があるので、注意深く検討をすべきである。38.後見開始の審判の取消しの審判事件について
(第4-1-(3)-イ後見開始の審判の取消しの審判事件)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
後見開始の審判の取消しは、行為能力の制限から解放される観点からは、あまり厳重な手続きは不要ではないかとの意見もある。しかし、本人保護の観点あるいは後日の紛争を避けるためにも、医師の診断等、場合によっては、関係人の意見陳述も加えて慎重にすべきである。39.陳述聴取等について
(第4-1-(4)陳述聴取等」
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
被後見人から陳述聴取をしない場合(ただし書き)、いわゆる陳述聴取ができない判断する基準が、診断書にのみ依拠するのではなく、本人の状況に関する確認作業をなすことにより、権利制限に対する配慮をもって慎重に判断する必要があるので、注意深く検討をすべきである。40.後見開始の審判事件における成年被後見人となるべき者に対する告知〔通知〕の特則について
(第4-1-(5) 審判の告知等-ア後見開始の審判事件における成年被後見人となるべき者に対する告知〔通知〕の特則)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、現行の取り扱いのとおりである乙案に賛成する。【意見の理由】
告知を受ける者とされている者に対する「通知」には、審判の効力発生及び即時抗告の始期とはされていないので、受告知能力がない者には「通知」も不要で あるとの甲案には賛成しかねる。ただし、受告知能力の有無によって「告知」と「通知」の概念、使用方法について不明確になっているので、現行のとおり、審 判の受告知能力がない場合には「通知」する等明確にすべきである。41.後見開始の審判事件及び後見開始の審判の取消しの審判事件について
(第4-1-(5)-イ後見開始の審判事件及び後見開始の審判の取消しの審判事件)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
後見人解任の審判に対し、現行では被後見人と親族も即時抗告権者となっているので、当事者である後見人が解任について異論がない場合は、親族等が争うことを認める必要はないので、規定の変更には賛成する。42.後見開始についての審判について
(第4-1-(6) 即時抗告-ア後見開始についての審判)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
即時抗告の起算点について運用を明文化する点で、中間試案に賛成する。43.後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判について
(第4-1-(6)-イ後見開始の審判の取消しの申立てを却下する審判)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
現行の運用を明文化していることに賛成する。44.成年後見人解任についての審判について
(第4-1-(6)-ウ 成年後見人解任についての審判)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。45.成年後見監督人解任についての審判について
(第4-1-(6)-エ成年後見監督人解任についての審判)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。46.後見開始の審判事件について
(第4-1-(7)成年後見に関する審判事件における申立ての取下げ制限-ア後見開始の審判事件)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
本人の権利保護の観点から、取下げは慎重にすべきである。実例として、申立人の意図した者ではない後見人等が選任されることや、あるいは被後見人の自宅 売却が動機であった場合、申立人の意図した結果(家庭裁判所の許可)が実現しないことが判明したことをもって、本人の保護の観点なくして申立ての取下げが おこなわれることが多くある。申立てから確定に至るどの段階でも家庭裁判所の許可が必要とすべきである。
乙案を賛成する意見の中には、申立人が取下げた後、市区町村長申立てが可能との意見もあるが、現状は市区町村長申立てがなされていない地域もあり、仮になされている地域にあっても、時期を逸してしまう可能性が大きく、首肯できない。47.成年後見人が欠けた場合の成年後見人選任の審判事件について
(第4-1-(7)-イ成年後見人が欠けた場合の成年後見人選任の審判事件)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
成年後見人を選任しなければいけない局面であり、申立人がだれであっても申立てを取り下げるには裁判所の許可が必要である。
48.成年後見人及び成年後見監督人に対する指示について
(第4-1-(8) 成年後見人等に対する指示及び成年後見の調査-ア成年後見人及び成年後見監督人に対する指示)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。49.成年後見の調査について
(第4-1-(8)-イ成年後見の調査)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。50.保全処分の内容について
(第4-1- (9) 審判前の保全処分-ア後見開始の審判事件を本案とする保全処分-(ア) 保全処分の内容)
【意見の趣旨】
保全処分の要件として、本案(後見開始の審判)の係属が必要か、不要かについては、現行の規定どおり係属を必要とする中間試案に賛成する。
保全処分の申立人となる者は、①の第一類型の保全処分も②の第二類型の保全処分も申立人を制限しない中間試案に賛成する。【意見の理由】
第3の審判前の保全処分に関する手続き(総則)に記載。
保全処分の申立権者はもともと広く解されていて、これに引き替え、後見開始の申立てをした者が、本人の後見の必要性を一番理解しているので、この者だけに保全処分を限定するとの考えもあるようであるが、区別する理由がない。51.陳述聴取について
(第4-1- (9) -ア-(イ) 陳述聴取)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
保全処分の緊急性の特徴から、本人の陳述聴取は不要とする意見もあるが、ただし書の「その陳述を聴くことにより保全処分の申立ての目的を達することがで きない事情があるときはこの限りでない」との手当がなされており、取消権のある後見命令についての本人の自己決定権尊重の観点から、陳述聴取は必要であ る。52.審判の告知及び効力発生時期の特則について
(第4-1- (9)-ア- (ウ) 審判の告知及び効力発生時期の特則)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
後見命令については、即時抗告ができることとなっているが、解釈上、財産の管理者に告知すればそれで効力が発生するものとして運用されてきた。迅速に効力を発生させるべき点において、今回の中間試案で明文化されたことには賛成する。53.財産の管理者の権限等について
(第4-1- (9) -ア- (エ) 財産の管理者の権限等)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成するが、施設との入所契約や病院との入院契約も財産管理者の権限として明確にすべきである。【意見の理由】
後見開始の審判前に保全処分が必要な事案の中で、在宅での生活に限界がきているので早急に施設等に入所する必要があるにもかかわらず、入所契約や入院契 約は財産管理者の権限ではないとされたり、逆に、権限外行為の許可で対応したとの報告もある。費用が発生する入所契約等は財産管理者の権限であること明確 にすべきである。54.保全処分の内容について
(第4-1- (9) -イ成年後見人又は成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分-(ア) 保全処分の内容)
【意見の趣旨】
保全処分の要件として、本案(後見人等解任審判)の係属が必要か、不要かについては、現行の規定どおり係属を必要とする中間試案に賛成する。
保全処分の申立人となる者は、申立人を制限しない中間試案に賛成する。
解任事件を本案とする後見人の職務執行停止、職務代行者選任の保全処分を職権でできることを明文化する中間試案に賛成する。【意見の理由】
後見開始の審判認容の蓋然性よりも、解任の審判認容の蓋然性がより必要となる点と解任の審判は職権でもできるので、本案係属を要件にしても負担は少ないと思われる点で、現行のとおり本案係属に賛成する。
現行の規定では、解任は職権でできるが、保全処分は申立てでないとできなかったので、家庭裁判所によっては運用により職権で保全処分の審判を行っていたものを明文化する中間試案に賛成する。55.職務代行者の改任等について
(第4-1- (9)-イ-(イ) 職務代行者の改任等)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。
56.保佐に関する審判事件について
(第4-2保佐に関する審判事件-(1) 管轄(2) 手続行為能力(4)陳述聴取等(5)審判の告知(6)即時抗告(7)保佐に関する審判事件における申立ての取下げ制限(8) 保佐人等に対する指示及び保佐の調査)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
後見類型と同様。57.保佐開始の審判事件について
(第4-2-(3) 精神の状況に関する意見聴取等-ア保佐開始の審判事件)
【意見の趣旨】
後見開始と同様、乙案に賛成する。なお、ただし書き以下は削除するものとする。【意見の理由】
保佐類型では、後見類型において明らかに後見と認定できる状態(いわゆる植物状態)はないと想定されるため、例外なく必ず鑑定を実施すべきである。58.保佐開始の審判事件を本案とする保全処分について
(第4-2-(9) 審判前の保全処分-ア保佐開始の審判事件を本案とする保全処分)
【意見の趣旨】
保全処分の要件として、本案(保佐人等解任審判)の係属が必要か、不要かについては、現行の規定どおり係属を必要とする中間試案に賛成する。
保全処分の申立人となる者は、申立人を制限しない中間試案に賛成する。
解任事件を本案とする後見人の職務執行停止、職務代行者選任の保全処分を職権でできることを明文化する中間試案に賛成する。【意見の理由】
保佐開始の審判認容の蓋然性よりも、解任の審判認容の蓋然性がより必要となる点と解任の審判は職権でもできるので、本案係属を要件にしても負担は少ないと思われる点で、現行のとおり本案係属に賛成する。
現行の規定では、解任は職権でできるが、保全処分は申立てでないとできなかったので、家裁によっては運用により職権で保全処分の審判を行っていたものを明文化する中間試案には賛成する。59.審判の告知及び効力発生時期の特則について
(第4-2-(9) -ア-(ウ) 審判の告知及び効力発生時期の特則)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、乙案に賛成する。【意見の理由】
効力発生時期の特則(家事審判規則第30条第3項及び第4項関係)については、迅速性の確保が要される。
60.補助に関する審判事件について
(第4-3補助に関する審判事件-(1) 管轄(2)手続行為能力(3)精神の状況に関する意見聴取(4)陳述聴取等(5)審判の告知(6) 即時抗告(8)補助人等に対する指示及び補助の調査(9) 審判前の保全処分)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
後見、保佐類型と同様。61.補助に関する審判事件における申立ての取下げ制限
(第4-3-(7) 補助に関する審判事件における申立ての取下げ制限)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
家庭裁判所の許可にかからしめる。62.管轄①について
(第4-5財産の管理に関する審判事件-(1)管轄①)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。63.管轄②について
(第4-5-(1)②)
【意見の趣旨】
数人の子についての申立てにつき、「父又は母を同じくする場合についてのみ」その一人の子住所地に申立てができることについては、賛成する。【意見の理由】
数人の子についての申立てにつき、「父又は母を同じくする場合についてのみ」その一人の子住所地に申立てができるというくくりをつけたことについては賛 成する。しかし、第三者が父又は母を同じくする子らに対して、共有の財産を与えた場合ではなく、子らにそれぞれ別の財産を与えた場合には、やはりそれぞれ の子の住所地の家庭裁判所を管轄とすべきであり、一人の子の住所地の家庭裁判所にすることができる場合をもう少し限定すべきである。64.管轄③について
(第4-5-(1)③)
【意見の趣旨】
未成年後見人が選任されている場合に、第三者が無償で子に与えた財産の管理に関する処分の審判事件は、未成年後見事件を管轄する家庭裁判所を管轄裁判所とすべきである。【意見の理由】
第三者が、与える財産を未成年後見人に管理させない意思を表した場合も、未成年被後見人及び未成年後見人に関する情報を有する、未成年後見開始の審判を した家庭裁判所が一連の未成年後見人に関する審判事件の一環として審理判断すべきであり、未成年後見を管轄する家庭裁判所が、関連事件として管轄すべきで ある。65.管轄④について
(第4-5-(1)④)
【意見の趣旨】
第三者が成年被後見人に与えた財産の管理者の選任その他の財産の管理に関する処分の審判事件は、後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が後見開始の審判をした場合には、その第一審裁判所である家庭裁判所)の管轄とすべきである。【意見の理由】
成年被後見人及び成年後見人に関する情報を有する後見開始の審判をした家庭裁判所が、一連の成年後見に関する審判事件の一環として審理判断すべきであり、成年後見を管轄する家庭裁判所が、関連事件として管轄すべきである。66.管轄⑤について
(第4-5-(1)⑤)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。67.管轄⑥について
(第4-5-(1)⑥)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。68.管轄⑦について
(第4-5-(1)⑦)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。69.手続行為能力について
(第4-5-(2)手続行為能力)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。70.相続人全員の限定承認と管理人の選任について
(第4-5-(3)相続人全員の限定承認と管理人の選任)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。71.不在者財産管理人等の権限について
(第4-5-(4)不在者財産管理人等の権限)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。72.処分の取消しについて
(第4-5-(5)処分の取消し)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。73.その他について
(第4-5-(6)その他)
【意見の趣旨】
民法918条第2項及び第3項(同法926条第2項、936条第3項及び第940条第2項において準用する場合を含む。)及び同法943条第1項(同法 950条)及条第2項において準用する場合を含む。)の規定による相続財産管理人の選任の審判は、第2の②(7)ア(エ)により告知を受けた者のほか、相 続人等に通知しなければならないものとする。【意見の理由】
相続人の一人から、又は利害関係人からの申立ての場合に、相続人等の調査をせずに申立てるということは考えにくく、基本的には、相続人等に知らせるべき である。しかし、相続人がいるにもかかわらず、相続財産管理人が選任される場合というのは、相続人間に争いがあったり、協力的でない相続人がいる場合等が 想定されるため、告知すべきであるとすると、手続きが進まないことが想定される。したがって、告知ではなく、通知するとすべきである。74.管轄について
(第4-8親権に関する審判事件-(1) 管轄)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
親権に関する審判事件の審理は、子の福祉の視点に立ってなされるべきであり、また、審判事件によっては子に対し陳述聴取の手続もあるため中間試案に賛成する。75.手続行為能力について
(第4-8-(2)手続行為能力)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
現行家事審判法・家事審判法規則・非訟事件法には行為能力について明文規定がないため、明文化することで法的安定性に資すると考える。
また未成年者であり、民法で行為能力を制限されているとしても、子を含めた関係人のその後の生活に重大な影響を受ける事件について、意思能力がある限り、審判手続に関与(意見表明)していくことが子の福祉の観点から重要である。
なお、子が利害関係人として親権に関する審判事件の手続に当然に参加することができるものとするかどうかについては、一見、子に重大な影響を与える裁判 について意見表明権が確保されるため手続保障の観点から適していると考えられるが、親権者の対立などから一方の親権者寄りの関係者として利害関係人として 取り込まれ、子どもの取り合いになり、結果として子どもの福祉を害する可能性もあるため、その点慎重にすべきであるから、子が利害関係人として親権に関す る審判事件の手続に参加する場合には、裁判所の許可を得て参加することができるとすべきである。76.陳述聴取について
(第4-8-(3) 陳述聴取)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
陳述聴取の対象として掲げられている者は審判事件の関係人であり、事件の審判の影響を大きく受ける者であることから、それらの意見を反映させるため、中間試案に賛成する。77.審判の告知について
(第4-8-(4) 審判の告知)
【意見の趣旨】
審判の告知の対象として中間試案に記載されているa、bの他、下記審判事件についても、それぞれにおいて定める者へ告知(通知)をすべきである。ただ し、子については、子の年齢及び発達程度その他一切の事情を考慮して子の福祉を害すると認める場合は、この限りでないものとする。
①民法第819条第5項の規定による親権者の指定及び同条第6項の規定による親権者の変更の審判・・・子
②民法第837条第1項の規定による親権又は管理権を辞するについての許可の審判
・・・・・・・・子
③民法第837条第2項の規定による親権又は管理権を回復するについての許可の審判
・・・・・・・・子及び子に対し親権を行う者又は子の未成年後見人【意見の理由】
告知の相手方を決定しておくことは審判の確定時期を明確化に資するため、この規定を新設することは賛成である。ただし、(6)の「即時抗告」とも関連す るが、子の意見表明権はできる限り保護しなければならず、少なくとも陳述聴取をした者に対しては審判の告知をすべきであると考える。78. 引渡命令等について
(第4-8-(5)引渡命令等)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
家事審判規則の規律を原則として維持していることから中間試案に賛成する。79.即時抗告について
(第4-8-(6) 即時抗告)
【意見の趣旨】
中間試案8(6)即時抗告ア~オに掲げられている審判事件のすべてにつき、子に即時抗告権を与えるべきである。なお、即時抗告権を与えられる子は(4)審判の告知を受けた子に限られる。
子及び即時抗告をすることができる者であって審判の告知を受ける者でない者がする即時抗告の期間は、中間試案(別表)事件類型「9 未成年後見に関する審判事件」欄に記載されている審判を受けるべき者に告知された日から進行するものとする。【意見の理由】
審判の申立権のない子に対して即時抗告権を与えることを認めるべきではないとの意見がある。しかし、本項に掲げられている審判はいずれも子の親権に関わる事件であり、子のその後の生活に重大な影響を与える事項である。
ただし、すべての子に即時抗告権を与えるとすれば、肉体的にも精神的にも成長途中にある子が、裁判所が一旦審判を下したことについて、告知された日から 2週間以内に即時抗告権を行使するかどうかを判断しなければならないとすれば、精神的な圧力が強く、子の福祉の観点から妥当ではないとの意見も考えられる ため、審判の告知については「子の年齢及び発達程度その他一切の事情を考慮して子の福祉を害すると認める場合」は告知しないこととし、審判の告知を受けた 子に限り即時抗告権を与えるものとする。80.子を懲戒場に入れる許可等に関する事項の指示等について
(第4-8-(7) 子を懲戒場に入れる許可等に関する事項の指示等)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
家事審判規則の規律を原則として維持していることから中間試案に賛成する。81.審判前の保全処分について
(第4-8-(8) 審判前の保全処分)
【意見の趣旨】
申立てのみではなく、職権でも審判前の保全処分をすることができるようにすべきである。その他は中間試案に賛成する。【意見の理由】
保全処分の要件として、本案(後見開始の審判)の係属が必要か、不要かについては、現行の規定どおり係属を必要とする中間試案に賛成する。
保全処分の申立人となる者は、申立人を制限しない中間試案に賛成する。
なお、親権又は管理権喪失の宣告の審判事件を本案とする保全処分については子の陳述聴取については、親権者の子に対する虐待等が問題になることが多く、 子の保護を考えた場合、子の意向にかかわらず、迅速に親権を停止しなければならない場合も多いと考えられ、また子の意向という観点からは、本案事件におい ては子及び親権者の陳述聴取の手続が用意され子の意向が反映される手続きとなっているため、この点に賛成である。
また、子に対する児童虐待等、子の保護を考慮すると、成年後見人又は成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分の中間試案と同じように審判前の保全処分について、申立てのみではなく、職権においても保全処分をすることができるようにするべきである。82.管轄について
(第4-9未成年後見に関する審判事件-(1) 管轄)
【意見の趣旨】中間試案に賛成する。
【意見の理由】
未成年後見に関する審判事件の審理は、子の福祉の視点に立ってなされるべきであり、また、審判事件によっては子に対し陳述聴取の手続もあるため中間試案に賛成する。83.手続行為能力について
(第4-9-(2) 手続行為能力)
【意見の趣旨】
中間試案9(2)aからcまでの事件以外の未成年後見に関する審判事件においても、未成年被後見人が、意思能力を有する限り、手続行為能力を有するものとすべきである。【意見の理由】
現行家事審判法・家事審判法規則・非訟事件法には行為能力について明文規定がないため、明文化することで法的安定性に資すると考える。84.陳述聴取等について
(第4-9-(3) 陳述聴取等)
【意見の趣旨】
aの他、bについても未成年被後見人の陳述を聴かなければならないとすべきである。
ただし書の除外規定については、「ただし、子については、子の年齢及び発達程度その他一切の事情を考慮して子の福祉を害すると認める場合は、この限りでないものとする。」とすべきである。【意見の理由】
aについては、未成年被後見人は強い利害関係を有し、また、未成年者の意見表明権をできるかぎり保護する必要があるため、陳述聴取の対象とすべきである。
ただし、bについても、通常、未成年後見人は未成年被後見人と定期的に面談し、未成年被後見人の財産を管理し、未成年被後見人の成長とともに後見業務を 行っていくものであり、未成年後見人と未成年被後見人との間は強い利害関係が生じることとなる。仮に未成年後見人の不祥事により解任されたとしても、その 解任審判事件について全く未成年被後見人が手続に関与しないとなれば、未成年者の意見を表明する機会が奪われ、未成年被後見人の保護に欠けると考えられ る。
したがって、未成年後見人の解任審判事件については、未成年被後見人の陳述を聴くべきである。
また、陳述聴取除外規定について、15歳という年齢によって区別するのではなく、子の年齢及び発達程度その他一切の事情を考慮して子の福祉を害すると認める場合には当該手続を行わないとし、できる限り子の意見表明権は保護しなければならない。85.即時抗告について
(第4-9-(4) 即時抗告)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
未成年後見人の解任についての審判については、職務放棄や未成年被後見人の財産の横領など、未成年被後見人の保護のために公益的な立場から、解任手続き を進めていく必要があるため、未成年被後見人に対して即時抗告権を与えないこともやむを得ない。しかしながら、未成年被後見人は未成年後見人の解任事件に ついて強い利害関係を持つため、できる限り未成年被後見人の意見を斟酌するよう努めなければならないと考える。86.未成年後見に関する審判事件における申立ての取下げ制限について
(第4-9-(5) 未成年後見に関する審判事件における申立ての取下げ制限)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
取り下げの制限を受ける者は申立人を制限しない案に賛成する。
未成年後見人を欠いた状態をそのまま放置することは未成年被後見人の保護に欠けるのであり、その状態は早期に解消する必要がある。仮に未成年後見人選任 申立てが取り下げられた場合に後日再度申立てがなされることを待っているしかないという状況になってしまうことが危惧され、子の福祉の観点からすれば、申 立人を限定することなく、当該申立てを取り下げる際には裁判所の許可を要するとして制限することに賛成である。87.未成年後見人等に対する指示及び未成年後見の調査について
(第4-9-(6)未成年後見人等に対する指示及び未成年後見の調査)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
家事審判規則の規律を原則として維持していることから、中間試案に賛成する。88.未成年被後見人を懲戒場に入れる許可等に関する事項の指示等について
(第4-9-(7) 未成年被後見人を懲戒場に入れる許可等に関する事項の指示等)
【意見の趣旨】
民法第822条の削除を検討すべきである。【意見の理由】
特になし。89.未成年後見人又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分について
(第4-9- (8) 未成年後見人又は未成年後見監督人の解任の審判事件を本案とする保全処分)
【意見の趣旨】
保全処分の要件として、本案(後見人等解任審判)の係属が必要か、不要かについては、現行の規定どおり係属を必要とする案に賛成する。
保全処分の申立人となる者は、申立人を制限しない案に賛成する。
解任事件を本案とする後見人の職務執行停止、職務代行者選任の保全処分を職権でできることを明文化する試案に賛成する。【意見の理由】
未成年後見人解任の審判は職権でもできるので、本案係属を要件にしても負担は少ないと思われる点で、現行のとおり本案係属に賛成する。90.管轄①について
(第4-10特別代理人選任に関する審判事件-(1)管轄)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。91.管轄②について
(第4-10-(1)②)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。92.管轄③について
(第4-10-(1)③)
【意見の趣旨】
民法第860条が準用する同法第826条の規定による成年後見に関する特別代理人の選任の審判事件は、〔後見開始の審判をした家庭裁判所(抗告裁判所が 後見開始の審判をした場合にあっては、その第一審裁判所である家庭裁判所)〕の管轄とするものとする。ただし、後見開始の審判後、裁量移送又は自庁処理に より管轄する家庭裁判所が変わった場合は、その家庭裁判所の管轄とする。【意見の理由】
後見関係事件は、管轄の統一化をはかるべきである。
また、裁量移送等により後見開始の審判をした家庭裁判所と異なった家庭裁判所に事件が継続している場合は、一元的な処理が良いと想定されるので、その家庭裁判所に管轄があるものと考える。93.手続行為能力について
(第4-10-(2)手続行為能力)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
たとえ民法で行為能力が制限されていても、意思能力がある限り全ての行為を制限されてはならない。94.即時抗告について
(第4-10-(3)即時抗告)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。95.管轄について
(第4-12相続に関する審判事件-(1)管轄)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。96.申述について
(第4-12-(2)申述)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。97.相続財産の分離の陳述聴取について
(第4-12-(3)相続財産の分離の陳述聴取)
【意見の趣旨】
中間試案のうち甲案に賛成する。【意見の理由】
相続債権者又は受遺者の財産分離の請求により、相続人は法定の義務及び賠償責任を負うことになるので、予め陳述聴取することは事後の手続を相続人が認識する機会となり有益であると考える。98.相続の限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述受理及び受理の告知について
(第4-12-(4)相続の限定承認及びその取消し並びに相続の放棄及びその取消しの申述受理及び受理の告知)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。99.引渡命令について
(第4-12-(5)引渡命令)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。
【意見の理由】
特になし。100.即時抗告について
(第4-12-(6)即時抗告)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。101.その他について
(第4-12-(7)その他)
【意見の趣旨】
中間試案の要検討事項に賛成する。【意見の理由】
未成年者等について、相続の限定承認又は放棄の取消の申述受理審判についても意思能力がある限り「手続能力」があるものとして、取消しの申述ができると することについては、相続の限定承認又は放棄の意思表示の瑕疵等を理由とすることから、より厳格に判断されるべきものと考える。102.管轄について
(第4-14遺産の分割に関する審判事件-(1)管轄)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
遺産の分割に関する審判事件は、相続開始後に申立てられるものであるから、「相続開始地」に統一している点、合一処理の要請に応えている点に賛成する。103.手続きの併合等について
(第4-14-(2)手続きの併合等)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。104.寄与分を定める処分の申立期間の指定等について
(第4-14-(3)寄与分を定める処分の申立期間の指定等)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。105.換価処分について
(第4-14-(4)遺産の換価処分-ア換価処分)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
相続人の申立権を明記している点に賛成する。106.審判の告知について
(第4-14-(4)-イ審判の告知)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし107.即時抗告について
(第4-14-(4)-ウ即時抗告)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。108.換価人の報酬について
(第4-14-(4)-エ換価人の報酬)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。109.遺産の分割の方法について
(第4-14-(5)遺産の分割の方法)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。110.給付命令について
(第4-14-(6)給付命令)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。111.遺産の分割禁止の審判の取消し・変更について
(第4-14-(7)遺産の分割禁止の審判の取消し・変更)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。112.即時抗告について
(第4-14-(8)即時抗告)
【意見の趣旨】
〔及び利害関係人〕との亀甲括弧をはずした上で、中間試案に賛成する。【意見の理由】
議事録の議論に従い、破産管財人に当事者適格が帰属しないとの結論を仮に採った場合の破産管財人を念頭においた上で、即時抗告権者に利害関係人を含めるべきである。113.その他について
(第4-14-(9)その他)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
遺産の分割に関する審判事件における審判手続きの特則を設けることに賛成する。
事件が不当に長期化することを防ぐため職権探知主義の規律の適用を限定し、又は不熱心な当事者への対応等について特則を置くなどして、適正かつ迅速な手続き進行をはかる方策の推進を望む。114.保全処分の内容について
(第4-14-(10)審判前の保全処分-ア保全処分の内容)
【意見の趣旨】
保全処分の要件として、本案の係属が必要か、不要かについては、現行の規定どおり係属を必要とする中間試案に賛成する。
保全処分の申立人となる者は、申立人を制限しない中間試案に賛成する。【意見の理由】
本案係属を要件にしても負担は少ないと思われる点で、現行のとおり本案係属に賛成する。115.財産の管理者の権限等について
(第4-14-(10)-イ財産の管理者の権限等)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。116.特別縁故者に対する相続財産の処分に関する審判事件について
(第4-15特別縁故者に対する相続財産の処分に関する審判事件-(1) 管轄 (2) 審判等の特則(3) 管理人の意見の聴取(4) 相続財産の換価処分(5) 即時抗告(6) その他)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。117.管轄について
(第4-16遺言に関する審判事件-(1)管轄)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。118.陳述聴取等及び審判の告知について
(第4-16-(2)陳述聴取等(3)審判の告知)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
受益者の陳述聴取及び受益者に対する告知については、その法的地位を検討したうえで判断すべきである。119.即時抗告について
(第4-16-(4)即時抗告について)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。
120.遺言の確認の審判事件及び遺言書の検認の審判事件における申立ての取下げ制限について
(第4-16-(5)遺言の確認の審判事件及び遺言書の検認の審判事件における申立ての取下げ制限)【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
申立ての必要性又は義務が民法に明文化されていることを考えれば、裁判所の許可の要件を検討した上で甲案を支持する。121.検認調書の作成について
(第4-16-(6)検認調書の作成)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。122.保全処分について
(第4-16-(7)遺言執行者の解任の審判事件を本案とする審判前の保全処分-ア保全処分の内容)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
但し、〔当該申立てをした者の〕を削除し、現行よりも、申立権者の範囲を広く認めるべきである。123.職務代行者の解任等について
(第4-16-(7)-イ職務代行者の解任等)
【意見の趣旨】
現行の規律を維持する中間試案に賛成する。【意見の理由】
特になし。124.家事調停事件の範囲について
(第5家事調停に関する手続-1家事調停事件の範囲)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
現在、家事調停をすることができるものとされている推定相続人の排除及びその取消し並びに扶養義務者の設定及びその取消しについて、家事調停できないよ うに変更されたことについては、話し合いで決めることが必ずしも適さない内容であることから、賛成できる。夫婦財産契約による管理者の変更及び共有財産の 分割の事件については、調停ができると考えるので、調停ができる事件に入れることがよいと考える。125.調停委員会の権限について
(第5-3調停委員会-(2)調停委員会の権限)
【意見の趣旨】
脱会の許可は、調停委員会の権限に入れるべきと考える。【意見の理由】
脱会の許可を調停委員会の権限としていれるか、検討事項になっており、「当事者として関与する必要がないものと考える者は、事実上当該手続に関与しなければよいだけ」という意見もあるようだが、手続のわかりやすさの観点からは賛成しかねる。126.付調停②について
(第5-6付調停②)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
検討事項として、事件を家事調停に付すことについて、現行法にはない、当事者から意見を聴いてするものとする規定を設けるか否かがある。手続選択権を保障するため、規定を設けることに賛成する。127.付調停④について
(第5-6付調停④)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
現行法では認められていない、高等裁判所が、訴訟事件又は家事審判事件を家事調停に付す場合に、その家事事件を自ら処理できるように提案されている。 「補足説明」で、事案の内容をよく知る当該高等裁判所において処理した方が、より迅速かつ適切に処理できるという意見に賛成する。128.管轄について
(第5-7調停手続-(1)管轄等-ア管轄)
【意見の趣旨】
管轄が各種存在する民事事件に比べ、家事調停は管轄が少ないので、管轄が増えるような措置を要望する。【意見の理由】
家事調停に関しては、原則、管轄が相手方の住所地になる。現実には、当事者が離れて暮らしていることも多く、相手方の住所地まで出かけて調停を行うのは たいへんである。管轄が各種存在する民事事件に比べ、家事調停は、管轄が少ないと思われる。なお、合意管轄は、争っているもの同士なので、必ずしも、うま く機能しない可能性を考えると、是非、別の管轄の概念を追加するよう要望する。
テレビ電話会議システムの活用により、解決できる問題もあると考える。129.電話会議システム等について
(第5-7-(3)電話会議システム等)
【意見の趣旨】
電話会議システム等を利用した期日において、家事調停の成立を認めることは相当でないと考える。【意見の理由】
電話会議システムを使用した期日において調停を成立させることができるか否かという検討事項がある。「補足説明」にあるように、当事者の真意の慎重な確認が必要であるため、電話会議システム等を利用した期日において、家事調停の成立を認めることは相当でないと考える。
ただ、技術の発達により、テレビ電話会議システムが、たとえ遠距離であっても、あたかもそこにいるような臨場感、状態で話し合いができるようになれば、考えを変える必要がでてくるかもしれない。130.申立ての方式について
(第5-7-(4)家事調停事件の申立て-ア申立ての方式)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
遺産分割の申立てと寄与分を定める調停の申立てに現行の規律を維持する規律を置くべきかの検討課題がある。実務的には、現行の規律と同じ内容がわかるような申立てを行わないと、どのような調停をすべきかわからないので、現行と同様の内容の規律を置くことに賛成する。131.併合申立てについて
(第5-7-(4)-イ併合申立て)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
国民にとっては、併合申立てができるほうが利便性があり、有利であるので、併合申立てを可能にする甲案に賛成する。
132.裁判長の申立書審査権について
(第5-7-(4)-ウ裁判長の申立書審査権)
【意見の趣旨】
相手方の住所がわからず、申立書の送付ができない場合や費用の予納がない場合の対応としては、民事訴訟法第138条第2項及び第141条と同趣旨の規定を置くべきである。【意見の理由】
検討事項として、相手方の住所がわからず、申立書の送付ができない場合や費用の予納がない場合の対応として規定を置くべきか否かがある。そのような場 合、規定を置いておかないと、裁判所としても手続が進められず、困ることになるので、民事訴訟法第138条第2項及び第141条と同趣旨の規定を置くべき である。133.調停条項案の書面による受諾について
(第5-7-(12)調停の成立-エ 調停条項案の書面による受諾)
【意見の趣旨】
現行の家事審判法のように一定の範囲で書面による受諾を認める方が良いと考える。【意見の理由】
中間試案では、原則調停条項案の書面による受諾を認めているが、当事者の真意を確認することが必要な観点から、現行の家事審判法のように一定の範囲で書 面による受諾を認める方が良いと考える。具体的には、現行の規律より、認める範囲を増やすにしても、現在認められている遺産の分割の関連する調停に限るべ きと考える。
調停条項案提示の方法、真意の確認及び調停条項案受諾者への調停成立の通知については、現行法を維持することに賛成する。134.用語について
(第5-8合意に相当する審判)
【意見の趣旨】
「合意に相当する審判」という用語について、適切な用語に変えることを要望する。【意見の理由】
「合意に相当する審判」という用語について検討課題になっている。確かに、何を示しているかわかりにくい用語である。適切な用語を提案できないが、もっと適切な用語に変えることを要望する。
135.合意に相当する審判について
(第5-8-(1)合意に相当する審判の対象事件及び要件-ア 合意に相当する審判)
【意見の趣旨】
「その他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え」については、合意に相当する審判の対象から除外することに賛成する。また、手続上の当事者の うち、身分関係の当事者でない者について、「申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因の有無について争いがない」こと の主体から除外することに賛成する。【意見の理由】
「その他の身分関係の形成又は存否の確認を目的とする訴え」を合意に相当する審判の対象にすべきか否かが検討課題とされている。「その他の身分関係の形 成又は存否の確認を目的とする訴え」について、そもそも、どのような事件がこれに該当するのか、だれを当事者にすべきかが明確でないことから、合意に相当 する審判の対象から除外することに賛成する。
また、手続上の当事者のうち、身分関係の当事者でない者について、「申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因の有無 について争いがない」ことの主体から除外するか否かが検討課題になっている。身分関係の当事者でない者は必ずしも事実関係を承知していないと考えられるた め、主体から除外することに賛成する。136.当事者について
(第5-8-(1)-イ当事者)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
死亡等により身分関係の当事者の一方を欠いているため、他方の当事者を被告として人事訴訟を提起する場合において、合意に相当する審判をすることができ るか否かが検討課題になっている。訴訟ができるのであれば、「補足説明」に記載されているように、身分関係の当事者の一方を欠くことをもって、合意に相当 する審判をすることができないとまでする必要はないと考える意見に賛成する。
その場合、利害関係のある第三者の手続保障や審理の充実を図るために人事訴訟法第28条及び人事訴訟規則第16条と同様の事件継続の通知の制度を設けることに賛成する。137.異議申立期間について
(第5-8-(4)不服申立て-ウ異議申立期間)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
異議申立権の放棄の規定を置くか否かの検討課題がある。審判前の放棄については民事訴訟法と同様、認めないことに賛成する。審判後については、必要性がないという意見もあるが、利用できる可能性があるなら、認めることも無駄にならないので、認めることに賛成する。138.当事者の異議申立てに対する裁判
(第5-8-(4)-エ異議申立に対する裁判-(ア)当事者の異議申し立てに対する裁判)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
合意に相当する審判を取り消す審判に対して、即時抗告をすることができるとするか否かについては、合意の相手方に不服申し立ての機会を与える必要性から、即時抗告できるとすることに賛成する。139.婚姻の取消しについての合意に相当する審判における親権者の指定について
(第5-8-(6)婚姻の取消しについての合意に相当する審判における親権者の指定)
【意見の趣旨】
中間試案のうち、甲案に賛成する。【意見の理由】
合意に相当する審判が、求める審判に内容について当事者間に争いがないことに基づいてされるものであることを重視するものであり、人事訴訟の和解による 離婚においても離婚に加えて親権者の指定について当事者間での合意が必要となるのと同様に、親権者の指定について当事者間に紛争がある場合には、合意に相 当する審判をすることができないとする考えに賛成する。
140.その他について
(第5-8-(7)その他)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
摘出否認の調停中に夫が死亡した場合、人事訴訟法第41条第2項と同様に同条第1項所定の者が摘出否認の主張をする機会を確保する規律が必要になるという考えに賛成する。141.調停に代わる審判の対象及び要件③について
(第5-9調停にかわる審判-(1)調停に代わる審判の対象及び要件)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
離婚の調停に代わる審判をする場合において、当事者間に成年に達しない子があるとき、子が15歳以上であるときは、子の陳述を聴かなければならないとの 意見に賛成する。調停に代わる審判が調停とは異なる性質を有しており、子のためにも陳述を必要的とするほうが、子の福祉に適うと考える。142.異議申立権者等について
(第5-9-(3)不服申立て-ア異議申立権者等)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
子に異議申立権を認めるにつき、異論もあるようだが、夫婦間の争いに関しての一番影響を受けることの多い子に、異議申立権を認めることに賛成する。当事 者の共同の申立てにより裁判所が調停に代わる審判をした場合に、異議申立てできるかにつき、申立てできるという意見に賛成する。設けることで、当事者に とって手続保障にかなうと考えるからである。143.記録の閲覧等について
(第5-12記録の閲覧等)
【意見の趣旨】
中間試案に賛成する。【意見の理由】
家事調停手続きにおける記録の閲覧等又は複製の許可について、家事審判規則第12条第1項の規律を維持して裁判所にある程度広い裁量を認めることにする ことに賛成する。家事調停事件の事案が多様であり、家事調停手続きの円滑な運用のために必要と考える。なお、閲覧等の規律については、家事審判委関する手 続(総則)における記録の閲覧等の規律(第2の1(5)ア③)と同様のものとすることに賛成する。
ただし書きについては、「その他相当でないと認められるとき」という包括的規定について、現在、想定されているただし書きの要件に当てはまらないが、禁止すべき場合が出てくる可能性が否定できないため、置くことに賛成する。