-
意見書等
2008年(平成20年)01月07日
不動産登記規則の一部を改正する省令(案)に対する意見
日本司法書士会連合会
会長 佐 藤 純 通初めに
日本司法書士会連合会は、不動産登記令の一部を改正する政令(案)に対する意見を平成19年12月26日付け意見書(別紙1)として申し述べているところであり、一連の改正に対する全般的な意見は、その趣旨のとおりであるので参照されたい。
本意見は、その趣旨に基づき、不動産登記規則の改正(案)に対する意見として、要望並びに解釈上の疑義について以下のとおり申し述べるものである。
1.【職務上請求につき】
(1) 職務上請求につき、その申請フォーマットは日司連が提案する別紙様式(別紙2)を認めて頂きたい。
(2) 職務上請求をするときは、不動産登記申請事件の代理権が依頼人から付与されておれば、特段職務上請求につき権限の受託を疎明しなくてもよいとの取り扱いにすべきである。
(3) 登記名義人の住所又は氏名に変更があった場合は、変更を証する情報を提供し、また登記名義人の相続人等が請求する場合は、相続を証する情報を提供しなければならない、とあるが(不動産登記規則第68条第5項・第6項)、資格者代理人による職務上請求の場合は、上記情報の提供を不要とする扱いとされたい。
理由: 職務上請求は、資格者が登記委任を受けるに際して、事前準備・事前調査の一つとしてなされるものであり、基本となる登記事件に関する依頼があれば、特に証明請求に関する個別的な委任を「明示的に」受ける必要はないものである。その趣旨からすると、職務上請求においては、規則第68条第5項、第6項による変更を証する情報あるいは相続を証する情報の提供は不要とすべきである。
よって、職務上請求においては、登記名義人の表示は登記簿上の記載によるものとする等、当該証明にかかる登記識別情報を特定する情報が提供されておればよいと考えるので、日司連が提案する別紙様式を使用する等の取扱いにするべきである。仮に、登記識別情報を特定する情報のみの提供が認められないとしても、資格者代理人が当該登記名義人の住所・氏名等に変更があったことを情報で提供している場合はそれで足りる、とすべきである。
規則第68条第5項・第6項が、職務上請求の場合にも直接に適用されることとなると、円滑な不動産取引決済に資するために導入した職務上請求の趣旨に反することとなり、また登記名義人の表示に変更があることは経験則上少なくないと考えられるため、オンラインによる証明請求の障碍となり、ひいてはオンライン申請の促進とも逆行する可能性がある。
2.【正当理由の追加】
登記識別情報を提供することができない正当理由に2つの理由が追加されたこと、特に第2項が追加されたことは、「取引決済時に有効証明請求ができない場合」等幅広い理由が該当するとなり、不動産取引・不動産登記申請の円滑、正確、安全に資するものとして高く評価するものである。
3.【規則附則第21条に規定する別記第13号様式の様式につき】
令附則第5条第2項により、登記所に提出する方法により添付情報を提供する場合は、オンラインで送信された申請情報と、別送された添付情報とを突き合わせするための手段・方法が必要となるのであり、その趣旨からすると別送された添付情報がどの申請情報にかかるものであるかがわかる程度に特定できればよいはずである。規則附則第21条に規定する第13号様式に記録する情報は、令附則第5条第2項により添付情報を別送する旨が申請情報の内容となっていることから、重複する情報であり不要であると考える。
なお、現行規定により認められている送付による書面申請の場合においても、特に添付書面の内訳等は求められていない。(現行規則第53条)。
仮に、管理上必要となるとしても、別送した添付情報の枚数まで記録することには反対である。例えば相続登記申請における戸籍等それを記録することに多大な労力が必要となる場合があり、円滑な登記申請に支障をきたす可能性があるので、できる限り簡略にすべきである。
4.【登記完了証につき】
(1) 平成19年8月に発表された利用促進策には、検討事項としてあげられていた登記完了証の記載事項の充実は早急に実現することを要望する。
(2) 登記識別情報と同様、オンライン申請の場合においても送付による交付を認めることを要望する。
5.【その他解釈上の疑義】
(1) 規則68条7項改正案の「同号」とは、「同号」が指すものが、条文上は2号だけを指すものと考えられるが、1号が含まれないとすると、今次導入された職務上請求の趣旨に合わないから、1号も指すよう条文を修正すべきであると考える。
(2) 規則第63条第8項の規定中「第6項の送付は、」という文言は、単に送付の方法により登記識別情報を記載した書面の交付の場合を指していると思われるが、第6項は郵送料の納付に関する規定であり、「第4項および第5項の送付」と置き換えるのが妥当であると考える。
(3) 規則第63条の2は、官公署が登記権利者のために登記を嘱託したときは、電子申請であっても「申出により」書面交付を選択できること及び書面交付の場合には「送付の方法により交付を求める」ことができることを規定するものと思われる。そうとすれば、第63条第1項にかかわらず、申出により書面交付を選択できること、その旨を嘱託情報とすること、および書面交付の場合には、送付の方法を選択できることとし、その場合はその旨および送付先を嘱託情報とすることとの規定が必要と考える。