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意見書等
2011年(平成23年)02月15日
内閣府消費者委員会 御中
「地方消費者行政専門調査会報告書案(骨子)」に対する意見
日本司法書士会連合会
消費者庁対応委員会
新宿区本塩町9番地3
Tel 03-3359-4171
Fax 03-3359-4175
jimukyoku@nisshiren.jp1 消費者行政における国と地方のあり方について
【意見】
消費者行政について、地域の多様な特性などを踏まえた地方の自治事務としつつも、相談窓口や事故等の情報収集体制の整備を国の責務とするべき点は評価できる。
しかし、地方自らの財源をもって手当することが基本というが、都道府県の法執行のためには、国が財政負担することも必要であり、また、相談ネットワークやPIO-NETの整備などについての国の財政的負担について明記すべきである。2 相談ネットワークのあり方について
【意見】
相談窓口は、第一次的に市町村が行ない、都道府県がこれをバックアップする体制を作るとしても、都道府県の役割を具体的に示すべきである。
なお、地域連携としては、司法書士会、弁護士会などの専門家の相談窓口との連携も検討すべきである。また、被害にあった住民が自ら窓口に相談できる場合はもちろん、自らが窓口に行けない住民(例えば認知症の方)についても、その体制の整備をすべきである。例えば、民生委員や介護ヘルパーとの連携などが考えられる。
また、各地の消費生活センターでは、最近では、インターネット商法に関する相談が最も多い。したがって、周知啓発活動については、住民に対してだけではなく、教育機関(教師、生徒)に対しても行っていくべきである。3 消費生活相談員の処遇のあり方
【意見】
相談員の適切な処遇や非常勤以外の制度的な選択肢を充実する必要があるが、研修機会の確保を図っていく旨は評価できる。
また、国が、相談員の人材育成に必要な研修等に対して、財政負担をする必要がある。
なお、研修機会の確保にあたっては、インターネットを利用した通信研修の体制を整備することにより、場所や時間を選ばず、必要なときに必要な研修を安価に受講することができる。このような方策も検討すべきである。4 情報の収集・分析及び情報提供のあり方
【意見】
PIO-NETによる情報の収集分析については、今後も強化していくべきである。しかし、消費者に向けた情報提供については、未だに十分とはいえない。
国民生活センターのホームページを閲覧すれば、最新情報を入手できるが、高齢者はインターネットを利用していない方が多いと考えられる。そのような消費者に対して、どのように情報提供をしていくのか検討すべきである(例えば、市報への情報掲載、防災無線の利用など)。最も情報を必要としている消費者に情報が届いていない矛盾を解消するよう努力すべきである。
また、PIO-NET入力に係る事務負担等については、国が財政負担をすることも明記すべきである。5 地方消費者行政における商品テストの位置づけ、人材確保について
【意見】
本報告書案に概ね賛成する。
ただし、各自治体の試験・研究機関との連携について、研究機関がない自治体もあると考えられるので、その場合の連携方法について検討すべきである。6 地方自治体における法執行の位置づけ
【意見】
国が都道府県の法執行強化につき支援を進めることについては評価するが、その際には国も一定程度の財政負担をすることも明記すべきである。
また、行政指導や行政処分の申立に対して、速やかに対応すべき旨、執行の有無、執行しない場合の理由を回答するなど、国の取組に対する言及が不十分である。7 地方消費者行政の基盤・環境の整備について
【意見】
消費者被害を未然に防ぐ法教育(特に中高生を対象とする)の学校カリキュラムを充実させるよう検討を進めるべきである。全ての市民の消費生活に関する知識と判断力が一定レベル以上であれば、消費者被害は相当数減らせるはずである(例えば、多重債務者は自分が支払っている利息がどれくらいになるか把握していない例が多い)。
現在、教育機関における消費者教育は、消費生活センター、司法書士会、弁護士会などが個々に行っており、互いの連携が図られているわけではない。このような各種団体が行う消費者教育をとりまとめる仕組みを検討し、教育機関ごとの実施の偏り(消費者教育をしている教育機関と全くしていない教育機関がある)をなくすよう検討すべきである。8 今後の地方消費者行政の充実・強化の進め方
【意見】
消費者行政の充実を目指している間にも、消費者被害は日々発生している。したがって、地方消費者行政の充実・強化策の実施は、可能な限り速やかに対応されるべきである。